利上げに転じるアジア大洋州の中央銀行が増加

(ASEAN、南西アジア、オセアニア)

アジア大洋州課

2022年06月23日

インド準備銀行(RBI、中央銀行)は6月8日に金融政策決定会合(MPC)を開催し、政策金利(レポレート)を0.5ポイント引き上げ、4.9%とした(2022年6月17日記事参照)。利上げは2会合連続の決定となる。ここにきて、利上げに転換するアジア大洋州の中央銀行が増え始めた。アジア大洋州主要10カ国の政策金利の動向をみると(注)、4月末時点では、前回金融政策会合から金利を引き上げた国はスリランカ、パキスタン、ニュージーランドの3カ国にとどまっていた。しかし、6月17日時点では、インドネシア、タイ、バングラデシュ以外の中央銀行が政策金利を引き上げた。

中央銀行が金利を引き上げる理由は、想定を超えるインフレ率の上昇にある。パキスタン中央銀行は5月23日の声明において、利上げはインフレ期待の安定にあるとした。同国のインフレ率は5月時点で13.8%と2021年11月以降は2桁の上昇率が続く。ASEANでは、フィリピンが2022年5月19日の金融政策会合で、インフレ率が中央銀行の想定値から上振れする可能性を踏まえて、政策金利を2.0%から2.25%に引き上げることを決定した。オセアニアでは、オーストラリア中央銀行は6月7日の理事会で、インフレ率が予想外に上昇していることから、政策金利を過去22年で最大の0.5%ポイントの引き上げにより、0.85%とした(2022年6月8日記事参照)。

利上げの背景には、各国からの資金流出懸念もある。米国連邦制度準備理事会(FRB)が6月の会合で政策金利を大幅に引き上げたことで(2022年6月16日記事参照)、新興・途上国からの資金流出リスクがこれまで以上に高まっている。IMFは1月に、新興・途上国がFRBの政策に注意を払う必要性に言及外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。資金流出回避の1つの手段が政策金利の引き上げを通じた市場金利の引き上げだ。金利を引き上げることで、外国人投資家による資金の流入、自国通貨買いが期待できる。しかし、金利の引き上げは需要抑制から景気を下押しする面もあり、各国中央銀行は難しい局面に立たされている。

(注)金利を金融政策の手段とするマレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、インド、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ、オーストラリア、ニュージーランドを対象とした。

(新田浩之)

(ASEAN、南西アジア、オセアニア)

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