中銀が0.50ポイント利上げ、過去22年で最大の上げ幅

(オーストラリア)

シドニー発

2022年06月08日

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は6月7日、政策金利を0.50ポイント引き上げ、0.85%とすることを決定した。2会合連続の利上げで、上げ幅は過去22年で最大となった。

RBAのフィリップ・ロウ総裁は利上げの背景について、「オーストラリア経済の回復力やインフレ率の高まりは、(新型コロナウイルスの)パンデミック対策として導入した金融支援策がもはや必要ないことを示している」と説明した。家計や企業のバランスシートは概ね健全であり、労働市場も堅調なものの、経済見通しに不確実性をもたらす要因のひとつは、インフレ率の上昇による消費支出への影響だとした。

ロウ総裁はまた、「オーストラリアのインフレ率は、その他の先進諸国より低いものの、サプライチェーンの混乱やウクライナ情勢などの世界的な要因に加え、国内における生産能力の制約や労働市場の逼迫、年初に発生した洪水なども影響し、これまでの予想よりも高くなっている」と指摘した。インフレ率のさらなる上昇が見込まれるものの、来年には目標範囲(2~3%)に向かって低下するとの見通しを示し、「インフレ率が範囲内に収まるよう、今後数カ月にわたって政策金利を引き上げる可能性がある」と述べた。

今回の利上げを受けて、ジム・チャルマーズ財務相は「エネルギー価格や食品価格の高騰によって生活費負担が増大する中で、非常に厳しいニュースだ」と述べた。また、「高インフレ、金利の上昇、実質賃金の低下といった課題に対処するため、10月に発表する予算案では生活費の負担軽減策を盛り込む」と表明した。

(住裕美)

(オーストラリア)

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