インド中銀、2カ月連続で政策金利を引き上げ

(インド)

ムンバイ発

2022年06月17日

インド準備銀行(RBI、中央銀行)は6月8日、金融政策決定会合(MPC)を開催し、政策金利(レポレート)を0.50ポイント引き上げ、4.90%に即時実施することを全会一致で決定した。

今般の措置は、前回5月の0.40ポイント利上げと合わせて1カ月で0.90ポイントの利上げとなった。

RBIのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、前回5月4日の会合以来、世界経済の高いインフレと成長率の鈍化、地政学的緊張の高まり、各国が実施したウクライナ情勢にかかる経済制裁、新型コロナウイルス関連のサプライチェーンの混乱などを背景に、国内インフレの見通しに大きな不確実性を与えているとした。そして、景気拡大を支援しつつもインフレ率が目標内に収まるよう緩和策の縮小に焦点を置くとして、2カ月連続の利上げを決定した。

RBIは、CPIインフレ率中期目標を4%±2%の範囲に設定しているところ、2022年度(2022年4月~2023年3月)のインフレ率は、第1四半期が7.5%、第2四半期が7.4%、第3四半期が6.2%、第4四半期が5.8%、2022年度全体では6.7%と目標上限6%を超えると見通している。

実質GDP成長率について、2021年度は8.7%〔国家統計局(NSO)暫定推計〕で、新型コロナウイルス・パンデミック発生前の2019年度の成長率を1.5ポイント上回った。しかし2021年度後半は、新型コロナウイルス感染拡大の第3波を背景とした個人消費の低迷に引きずられ、第3四半期の5.4%から第4四半期は4.1%へと減速したことを指摘した。そのうえで、2022年度は不確実な世界経済の中において、インド経済は生産稼働率の改善、政府の設備投資促進策、銀行の信用力強化などに支えられて商品・サービス輸出が伸び、農村部・都市部ともに経済活動が活発化しているとした。そして、第1四半期は16.2%、第2四半期は6.2%、第3四半期は4.1%、第4四半期は4.0%、2022年度全体では7.2%を維持すると予想している。

(松永宗徳)

(インド)

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