ブラジルと米国が貿易・経済協力協定に署名
(ブラジル、米国)
米州課
2020年10月21日
ブラジルと米国は10月19日、貿易・経済協力協定(ATEC:Agreement on Trade and Economic Cooperation)に署名した。2国間の貿易円滑化および通商関係強化を目指す協定で、10月19日付のブラジル現地紙「UOL」などが報じた。本協定は、関税減免などモノの貿易自由化は含まないが、2国間の貿易円滑化、良き規制慣行(good regulatory practice)などを目指し、2019年7月に交渉を開始し2020年内の締結に向けて議論が進んでいた(2020年4月21日記事参照)。
10月19日付のブラジル現地紙「バロール」は、WTOによれば、貿易円滑化が図られることで輸出者は最大13%のコスト削減につながると報じている。また、良き規制慣行が盛り込まれたことで透明性が確保され、法的確実性が増し、その結果として企業のコスト削減にもつながると強調している。
米国通商代表部(USTR)のウェブサイトには協定文が掲載されている。協定文によれば、事業者が税関などに関税分類などを照会できる事前教示制度やAEO制度(注1)の制定、規制などについて明示されている。また、係る手続きや手順、法的根拠などをウェブサイトで公開するとしている。ウェブサイトは無料で閲覧でき、広く公開される。さらに、輸出者や輸入者などからの問い合わせを受け付けるための「問い合わせ窓口(enquiry point)」を設置し、「問い合わせから20日以内に回答すること」が定められている。規制については、当該規制当局の担当者名および連絡先を公開し、企業などからの問い合わせに対応することが規定されている。
ブラジルでは、NCMコード(注2)の誤記載による通関トラブルが絶えない。また、規制については、いずれの国とも基準認証の同等性を認めていないため、ブラジル独自の認証を取得する必要がある一方、手順などが複雑で、企業にとっては高いビジネスハードルとなっていた。
本協定は、ブラジル側では上下院議会での承認を得て発効する見込み。
(注1)貨物のセキュリティ-管理と法令順守の体制が整備された事業者に対し、税関手続きの緩和・簡素化策を提供する制度。税関ウェブサイト参照。
(注2)8桁で表示されるメルコスール共通関税番号。上6桁はHSコードと同じ。
(辻本希世)
(ブラジル、米国)
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