バイデン米政権、世界の食料危機に27億6,000万ドルを拠出

(米国)

米州課

2022年06月30日

米国ホワイトハウスは6月28日、ドイツ・エルマウで開催されたG7サミットによる共同声明を受けて、食料安全保障に関するファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。

ファクトシートでは、G7が世界の食料安全保障に対処するため、途上国への食料の安定供給など人道支援に45億ドル以上を拠出すると発表したことについて(2022年6月30日記事参照)、米国がその半分以上に当たる27億6,000万ドルを拠出すると明らかにした。このうち、20億ドルは人命救助に向けた緊急介入に、7億6,000万ドルは食料、肥料のほか、エネルギー価格の高騰の影響を受けた国・地域における貧困や飢餓、栄養不良を軽減するための短期的な食料支援に充てられる予定としている。

今回の食料危機の原因はロシアのウクライナ侵攻によるものとして、食料と農業生産の停滞、農業関連施設の破壊、穀物と農業機械の略奪、黒海に面する輸出港の封鎖などを通じて、ロシアのプーチン大統領が食料を戦争の武器として使用していると非難した。また、その結果、紛争地帯から遠く離れた場所に住む人々が、貧困、飢餓、栄養失調のリスクに直面しているとして、2022年には最大で4,000万人以上が新たに貧困と食料不足に追い込まれる可能性があると指摘した。併せて、世界全体がロシアのウクライナ侵攻によって大きな影響を受ける中、特にソマリアなど「アフリカの角」地域において記録的な干ばつによる飢饉(ききん)が発生していると警鐘を鳴らした。

アントニー・ブリンケン国務長官は6月24日、ドイツ・ベルリンで開催された「グローバルな食料安全保障に向けた結束のためのベルリン閣僚会合」において、「世界中のどこへ行っても、食料不足に対する深い懸念を耳にする。1年前には世界で1億6,000万人が食料不足に直面していたが、ロシアのウクライナへの侵略により、今ではさらに4,000万~5,000万人が食料不足に直面しようとしている」と説明した。また、「気候変動、新型コロナ、ロシアによるウクライナ侵攻が組み合わさって、食料不安の危機をさらに大きくしている」として、食料やエネルギー価格の高騰について米国や西側諸国の禁輸措置など経済制裁によるものと非難する声もある中で、「明確にしよう。このような事態になっている唯一の理由は、ロシアのウクライナ侵攻と、ロシアによるウクライナからの穀物やそのほかの食料の輸出を阻止する封鎖だ」と強調した。

また、米国務省経済商務局のラミン・トルイ次官補はメディアの取材に応じ、「われわれは、食料安全保障に対するハイレベルな外交的関与を維持し、それに対応するための資源を動員する」「米国は食料の輸出大国で、米国の農家がこの世界的な食料安全保障の危機を解決する一翼を担える」と、米国産品の輸出拡大の可能性を指摘した(アルアハラム・オンライン6月25日)。食料と同様に、世界で調達競争が激化するエネルギーについても、米国の輸出はここ数カ月で大きく伸びており、液化天然ガス(LNG)では2022年1~5月に米国が世界最大のLNG輸出国となっている(2022年6月13日記事参照)。

(葛西泰介)

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