米エネルギー長官、ガソリン高めぐり石油大手7社と対応協議

(米国)

米州課

2022年06月29日

米国エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官は6月23日、ワシントンの同省本部で、エクソンモービル、シェブロン、マラソン、フィリップス66など米国の石油大手7社(注)の幹部と会合外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行った。

米国ではガソリンなどエネルギー価格の高止まりを受け、ジョー・バイデン大統領が6月14日に石油大手7社に対し、ガソリンやディーゼル、そのほか精製品の供給量を増やすために、各社に即時の行動を求める書簡を送付した(2022年6月17日記事参照)。これに対して、エクソンモービルやシェブロンなどが反発していた(2022年6月16日記事2022年6月23日記事参照)。

グランホルム長官は会合で、現在の状況について「プーチン(ロシア大統領)の値上げによるもの」と強調し、ロシアのウクライナ侵攻以降のガソリンなどエネルギー価格の値上がりにより、米国の消費者や労働者、地域社会が痛みを感じていると説明。また、プーチン大統領がエネルギーを「武器」として利用している中、米国がロシア産原油の輸入を禁止したことを念頭に、石油会社は安全で安価な供給を確保するための解決策を提供しなければならないとして、各社に対応を求めた。加えて、より多くのガソリンを低価格で給油できるよう、供給をオンライン化することが不可欠と各社に伝えたとしている。

米国石油協会(API)と米国燃料石油化学製造者協会(AFPM)は同日に共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出し、「エネルギー価格の上昇に対処し、世界のエネルギー市場にさらなる確実性をもたらす方法について、建設的な議論を行った」とした上で、「本日の成果は、米国が強力な国内石油精製業界への長期投資とそのための政策調整を約束するものであり、市場にポジティブなシグナルを送るはず」「われわれの業界は、米国のエネルギーを開放し、経済回復を促進し、国家安全保障を強化するために、政策立案者と協力する機会を模索し続ける」としており、今後も連邦政府との協議が続けられる見込みだ。

米国自動車協会(AAA)によると、バイデン政権による石油戦略備蓄の大量放出などの対応にもかかわらず、6月27日現在、1ガロン(約3.8リットル)当たりのレギュラーガソリンの全米平均価格は4.89ドルと高止まりしている。前月につけた同5ドル超を下回るものの、2021年の同3.09ドルの1.6倍の水準にあり、特に中低所得層の家計を強く圧迫しているとされる。米民間調査ではバイデン大統領の支持率は39%と、就任以降、最低を記録し、反対に不支持率は58%と、過去最高となったことが示された(2022年6月14日記事参照)。11月に予定されている中間選挙が迫る中、ガソリン価格の抑制に向け、バイデン政権と石油大手各社とのせめぎ合いが続く。

(注)エクソンモービル、マラソン、バレロ・エナジー、フィリップス66、シェブロン、BP、シェル(順不同)

(葛西泰介)

(米国)

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