米石油大手シェブロン、バイデン大統領の石油業界への増産要請に反論

(米国)

ヒューストン発

2022年06月23日

米国石油大手シェブロン(本社:カリフォルニア州サンラモン)のマイケル・ワース取締役会長兼最高経営責任者(CEO)は6月21日、ジョー・バイデン米大統領による石油大手7社(エクソンモービル、マラソン、バレロ・エナジー、フィリップス66、シェブロン、BP、シェル)への6月14日付の書簡に対して反論外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。バイデン大統領は、ガソリン価格が記録的に上昇する中、ガソリンやディーゼル、そのほかの石油精製品の供給量を増やすため、各社に対して即時の行動を求めていた(2022年6月17日記事参照)。エクソンモービル(本社:テキサス州アービング)は15日にバイデン大統領の書簡に対し反論を展開している(2022年6月16日記事参照)。

ワース取締役会長兼CEOは「世界の石油・ガスの需要と供給の不均衡に対処するため、政治的なレトリックではなく、思慮深い行動と協力する意思が必要だ。目先の問題とエネルギー市場の長期的な安定の両方に対処する行動について、政権側と建設的な会話ができることを期待している」と述べた。その上で「当社は143年の歴史の中で、2021年に最も多くの石油・ガスを生産した。当社の米国内での石油・ガス生産量は2022年第1四半期(1~3月)に日量120万バレルとなり、前年同期比で10万9,000バレル増加した。パーミアン盆地だけでも、2022年末までに生産量が日量75万バレルに近づき、2021年比で15%以上増加する見込み」(2022年6月17日記事参照)として、同社の近年の実績を強調した。そのほかにも、バイデン大統領に向けた書簡では「当社は温室効果ガス(GHG)排出量の削減、二酸化炭素(CO2)回収や水素など新しい先進エネルギー技術の拡大のために100億ドルを投資し、バイオ燃料の生産能力を2030年までに日量10万バレルにまで拡大する」(2022年6月15日記事参照)と記述している。

ワース取締役会長兼CEOはバイデン大統領に向けた書簡で、連邦所有地のリース販売や掘削許可から、重要なインフラの許可や建設に対する能力、コストと便益の両方を考慮した規制の適切な役割に至るまで、政策事項の明確化と一貫性が必要とする提言も行っている。

なお、バイデン大統領の書簡をめぐり、米エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官と石油大手企業の幹部による緊急会合が6月23日にホワイトハウスで予定されており、シェブロンもこれに出席予定としている。

(沖本憲司)

(米国)

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