上海港のコンテナ貨物、寧波舟山港などへの迂回が鮮明に

(中国)

上海発

2022年05月24日

上海市では、新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向にあり、経済活動の正常化を進める動きも出ているが、依然として物流面に大きな影響が出ている(2022年5月17日記事参照)。

交通運輸部は5月17日、4月の全国の港湾貨物、コンテナ取扱量を発表した。コンテナ取扱量は2,366万TEU(20フィートコンテナ換算)で前年同月比0.2%減だった。

主要港湾のコンテナ取扱量をみると、上海港は前年同月比17.2%減の308万TEUと減少する一方、浙江省の寧波舟山港は11.8%増の303万TEUとなった。これまで、両港のコンテナ取扱量を比べると、毎月100万TEU以上の差があったが、4月に入ってその差はわずか5万TEUまで縮まった(添付資料図参照)。

4月のコンテナ取扱量(2,366万TEU)を3月(2,379万TEU)と比べると、全国では13万TEU、率にして0.5%の減少にとどまったが、上海港は102万TEU、24.9%と大幅に減少した。一方で、寧波舟山港は37万TEU、13.9%の増加、広東省の深セン港は40万TEU、18.1%の増加となった(添付資料表参照)。

同じ長江デルタにある寧波舟山港は、封鎖管理されている上海港の対外輸出を分担している。4月に米国向けに輸出したコンテナ貨物は前月比27%増加、単月ベースの取扱量は初めて300万TEUを突破した(「港口圏」4月19日)。

上海港の封鎖管理により、日系企業も寧波舟山港をはじめとする中国各地の港湾からの代替輸出入などを行っており、(2022年5月6日記事参照)。こうした代替輸出入による迂回(うかい)が寧波舟山港や深セン港の取扱量の増加につながっている可能性が考えられる。

(高橋大輔)

(中国)

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