インド太平洋地域における4カ国の役割と連携の強化を強調、クアッド首脳会合共同声明

(米国、日本、インド、オーストラリア)

米州課

2022年05月25日

外務省は5月24日、日米豪印のクアッド(QUAD)首脳会合(2022年5月24日記事参照同日別記事参照)で発出された共同声明(日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した。本共同声明は、大きく9つの項目に分かれている。

平和と安定について、4カ国の首脳は、ウクライナにおける紛争および進行中の悲劇的な人道的危機に対するそれぞれの対応について議論し、そのインド太平洋への影響を評価した。また、同首脳らは、東シナ海および南シナ海におけるものを含む、ルールに基づく海洋秩序に対する挑戦に対抗し、あらゆる威圧的、挑発的または一方的な行動に強く反対する、と記した上で、太平洋島しょ国のニーズに対応するために協力することを約束した。

新型コロナウイルス感染症と世界健康安全保障の項目では、4カ国がインド太平洋への少なくとも2億6,500万回分の供与を含め、6億7,000万回分以上のワクチンを現物供与してきた成果を強調した。また、同首脳らは、新型コロナウイルス感染症への対応と将来の健康危機に対する備えの両方に引き続き取り組んでいくとして、保健分野においてさらに貢献していく意思を示した。

インフラについて、4カ国は今後5年間で、インド太平洋地域において500億ドル以上のインフラ支援および投資を行うことを目指すと表明した。また、同首脳らは、債務問題への対処を要する国々の能力強化に取り組んでいく方針を明記した。

気候については、日米豪印気候変動適応・緩和パッケージ(Q-CHAMP)(日本語PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)英語PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))の立ち上げが発表された。また、同首脳らは、2050年までにネットゼロを達成するための法案を可決し、新規の野心的な国が決定する貢献(NDC)を提出などして、気候変動へより強力にコミットメントとしていくというオーストラリア新政権の意思を歓迎した。

サイバーセキュリティについて、当該4カ国およびパートナー国が、日米豪印サイバーセキュリティ・パートナーシップ(日本語PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)英語PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))の下で、インド太平洋地域における能力構築プログラムについて協調することを表明した。

重要・新興技術に関して、同首脳らは、5Gおよびビヨンド5Gの分野で、5Gサプライヤー多様化およびオープンRANに関する新たな協力覚書の署名を通じ、相互運用性と安全性を推進していくと述べ、半導体サプライチェーンにおいては、4カ国の能力および脆弱(ぜいじゃく)性をマッピングし、多様で競争力のある半導体市場を実現するために協力を強化するとした。

そのほか、日米豪印フェローシップ、宇宙、海洋状況把握および人道支援・災害救援に関する4カ国の意思が示された。宇宙分野については、4カ国の衛星データ資源へのリンクを集めた「日米豪印衛星データポータル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を提供するなどして、地域諸国を支援していくことが明記された。海洋状況把握および人道支援・災害救援においては、海洋状況を把握するための「インド太平洋パートナーシップ(IPMDA)」を歓迎し、「インド太平洋地域における日米豪印HADR(人道支援・災害救援)パートナーシップ」を立ち上げることが発表された。

(片岡一生)

(米国、日本、インド、オーストラリア)

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