各国首脳がインド太平洋地域における4カ国の重要性を強調、クアッド首脳会合冒頭発言

(米国、日本、インド、オーストラリア、ロシア、ウクライナ)

米州課

2022年05月24日

日米豪印のクアッド(QUAD)首脳会合が5月24日、首相官邸で開催され、各国首脳は会合の冒頭で次のような発言を行った。

岸田首相は、5月23日に就任したばかりのオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相の訪日を歓迎し、首相就任に対する祝意を表した。また、岸田首相は、対面形式で2021年9月に行われた第1回クアッド首脳会合以降、ロシアによるウクライナ侵略という、法の支配に基づく国際秩序の根幹を揺るがす事態が発生したが、同じようなことをインド太平洋地域で起こしてはならないと述べた。さらに、同首相は、4カ国の協力を成功させる上で、ASEAN、南アジア、太平洋島しょ国といった地域諸国の声に耳を傾けることが重要だとして、関係国と連携してインド太平洋地域の諸問題の解決にあたっていく意思を示した。

オーストラリアのアルバニージー首相は、同国で実施された選挙の結果に各首脳から祝意が伝えられていることに謝意を示し、首相として最初の仕事が本首脳会合への参加となったことを名誉に思うと発言。同新政権の優先課題は、気候変動、経済安全保障、エネルギーの確保など、クアッドのアジェンダと一致していると語り、政権が代わっても、オーストラリアのクアッドやASEANに対するコミットメントは変わらないと述べた。また、同首相は、気候変動が太平洋島しょ国にとって経済上および安全保障上の最大の脅威になっていると指摘した上、同国が経済支援を行っていく方針を表明した。

インドのナレンドラ・モディ首相は、4カ国はワクチンの供給、気候変動対策、経済協力およびその他分野において連携を強化してきており、インド太平洋の平和、繁栄およびに安定に寄与していると述べ、クアッドの意義を強調した上、4カ国の相互信頼と決意が民主主義国家に新しいエネルギーと熱意を与えていると語った。また、同首相は、自由で開かれた包摂的なインド太平洋地域の実現は、4カ国全てにとって共通の目標であるとし、当該地域に貢献していくインドの姿勢をあらためて明らかにした。

米国のジョー・バイデン大統領は、アルバニージー首相が選挙を終えた直後にクアッド首脳会合に参加していることに謝意を示した後、本首脳会合は民主主義対全体主義の構図を示していると指摘した。また、同大統領は、4カ国の協力が、新型コロナウイルス対策、5Gテクノロジー開発、サプライチェーンの問題解消、クアッド・フェローシップの設立などで成果を出していると語った。他方、同大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻は人道危機を引き起こしており、ロシアは学校や病院、博物館を破壊することでウクライナの文化を消滅させようとしていると非難。クアッドは、ロシアが戦争を続ける限り、パートナーであり続けるとして、4カ国の連携の重要性をあらためて強調した。

(片岡一生)

(米国、日本、インド、オーストラリア、ロシア、ウクライナ)

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