ベネズエラ政府、米国による制裁緩和に期待を表明

(ベネズエラ)

ボゴタ発

2022年05月25日

ベネズエラのデルシ・ロドリゲス副大統領は5月17日、公式ツイッターを通じて「米国が、米国と欧州の石油会社に対し、ベネズエラでの交渉と操業再開を許可したという趣旨の知らせを確認した」と発表し、米国によるベネズエラ政府機関や個人に対する制裁の停止につながることへの期待を表明した。

一方、大統領側近で国営石油公社PDVSAの元幹部が制裁対象者から外されるとの報道があるのに対し、主要野党連合の「統一プラットフォーム」は翌5月18日、「米国政府と行われている交渉は、昨年ベネズエラ政府側が中断した、メキシコでの与野党対話(2021年10月26日記事参照)の再開に関するもので、いずれかの個人に対する制裁を解除することへの言及まではない」とコメントしている(現地紙「ポリティコ」5月17日)。

制裁緩和に関する米国政府からの公式な表明はないが、ホワイトハウスで中南米問題を担当するフアン・ゴンサレス補佐官は5月17日、フロリダ州で行われた国際会議で「制裁の緩和はベネズエラ政府と反政府派との対話が具体的に進展し、自由で民主的な選挙の実施につながるかどうか次第だ」と発言している。

現在、米国石油会社シェブロンが、制裁対象であるPDVSAと協議を行うことを認めるとの報道がみられている(2022年5月24日記事参照)。

政府機関や個人に対する制裁は、米国財務省外国資産管理局(OFAC)が規定・管理を行っているが、OFACは現在、シェブロンおよび石油サービス会社のハリバートン、シュルンベルジェ、ベーカー・ヒューズ、ウェザーフォードに対し限定的な操業を認めるライセンスを与え、制裁発動から有効期限の延長を繰り返している。2022年6月1日に現在の有効期限を迎える予定であることから、今後、米国政府による制裁緩和が行われるのであれば、同ライセンスが今回も延長され、そこに何らかの変更が加えられるのではと予想されている。

現状では、米国との交渉結果や与野党対話の再開に関する、ニコラス・マドゥーロ大統領によるコメントはない。しかし、同大統領による、米国をあからさまに敵対視するような発言はここ数カ月みられていない。また、政府側交渉団の代表であるホルヘ・ロドリゲス国会議長は5月17日、「将来のプランのための会合にて。メキシコの精神を救済するために」と記載して、反政府側代表のヘラルド・ブライデ元バルータ市長と握手を交わす写真を自身のツイッターに投稿するなど、再開に前向きな姿勢をアピールしている。

(マガリ・ヨネクラ、豊田哲也)

(ベネズエラ)

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