マドゥーロ政権、与野党対話の中止を宣言

(ベネズエラ)

ボゴタ発

2021年10月26日

ベネズエラで10月17日から予定されていた、ニコラス・マドゥーロ政権の関係者と反政府関係者それぞれの代表による3回目の対話が中止された。米国より資金洗浄の容疑で訴追されていたアレックス・サーブ氏が、西アフリカのカーボベルデから10月16日、米国に引き渡されたことに反発し、政権側メンバー代表のホルヘ・ロドリゲス国会議長が同日、「政権側メンバーへの攻撃だ」として、翌日から予定されていた対話の中止を宣言した。両者間の対話は、ノルウェーの仲介により8月からメキシコで行われていた(2021年9月14日記事参照)。

コロンビアとベネズエラの国籍を持つサーブ氏は、ベネズエラ政府が提供する食糧配給プログラム「CLAP」の食料品輸入を行う貿易商で、政府が得た違法な利益を米国の銀行に送金していたとされる。2020年12月に航空機で移動中に、給油で立ち寄った西アフリカのカーボベルデで逮捕された。その後、同氏はベネズエラ政府より特別大使としてアフリカ連合のベネズエラ代表に任命されたほか、メキシコで与野党対話が行われた9月、突然、政権側メンバーに参加することが発表された。ベネズエラ政府によるこれらの措置は、外交官の不逮捕特権により同氏の米国への身柄引き渡しを阻止することで、政府の資金取得に関する内情が同氏より明かされることを避ける狙いだったのではないかとの見方がされている。

なお、政権側による対話の中止宣言が一時的なものか、決定的な終了を意味するものかは不明だ。ただ、11月21日に地方選挙が予定されていることから、再開があるとすればその後となるとみられる。

(マガリ・ヨネクラ、豊田哲也)

(ベネズエラ)

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