ミュンヘンで光学・レーザー技術関連の展示会が開催

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年05月13日

光学・レーザー技術関連の展示会「LASER World of PHOTONICS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が4月26~29日に、ドイツ南部バイエルン州ミュンヘンで開催された。1973年以来2年に一度開催されており、光学・レーザー技術の業界を代表する展示会として存在感を示し、今年で25回目を迎えた。なお2021年開催予定だったものが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期され、2022年に開催となった。

主催したメッセミュンヘンの4月29日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、今回会場には30カ国以上から900社以上が出展した。前回2019年開催時は40カ国以上から1,325社だったため、今回の出展者数は3割以上減少した。出展者を国別にみると、ドイツを筆頭に、米国、フランス、英国、スイス、中国、リトアニア、オランダ、カナダ、フィンランド、日本と続いた。日本企業も14社が出展した。また、ドイツ国外からの来場者数は1万5,000人以上で、国外からの来場者の上位5カ国はスイス、イタリア、英国、イスラエル、フランスだった。

写真 展示会場内のジャパンパビリオンの様子(ジェトロ撮影)

展示会場内のジャパンパビリオンの様子(ジェトロ撮影)

写真 「World of QUANTUM」出展エリアの様子(ジェトロ撮影)

「World of QUANTUM」出展エリアの様子(ジェトロ撮影)

2022年の新たな取り組みとして、会場に量子科学・コンピュータ関連の出展エリア「World of QUANTUM」が設けられ、訪問者の関心を惹きつけた。ドイツでは2021年6月、国内初の量子コンピュータとしてIBM製「IBM Qシステム・ワン」が稼働しており、ドイツ大手10社による産業利用を探るコンソーシアムも発足した(2021年6月22日記事参照)。ミュンヘンでは、2022年2月に量子コンピュータの研究開発コンソーシアム「ミュンヘン量子バレー」も立ち上がるなど、ドイツ全国で動きが活発化しつつある(2022年2月7日記事参照)。量子技術は、自動車、素材加工、医療分野など、多岐にわたる産業分野での活用が見込まれている。さらに、カーボンニュートラルへの寄与にも期待が寄せられている。ドイツの光学・分析・医療技術工業連盟スぺクタリスによると、気候変動に関するパリ協定での、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑える努力を追求する目標に基づき、全世界では2030年までに合計約160億トンの二酸化炭素(CO2)の排出量を削減する必要がある計算になるが、そのうちの少なくとも11%(約18億トンに相当)は光学技術の活用によって削減可能だという。

次回の「LASER World of PHOTONICS」は2023年6月27~30日の開催。関連の会議「World of Photonics Congress」も同月25~30日に同時併催される予定だ。

(大河原楓)

(ドイツ)

ビジネス短信 95d44601c06aaf58