ドイツ初の量子コンピュータが稼働、大手企業は産業利用を探るコンソーシアムを設立

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年06月22日

ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州シュツットガルト市近郊のエーニンゲンにある量子コンピュータ・コンピテンスセンターで、IBM製の量子コンピュータ「IBM Qシステム・ワン(IBM Quantum System One)」の稼働を記念する式典が6月15日に開催された。式典には、アンゲラ・メルケル首相やペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相らもオンラインで参加外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これは、フラウンホーファー研究所によるプロジェクトで、ドイツで稼働する初の量子コンピュータになる。量子コンピュータは、高速計算が可能な次世代コンピュータで、従来のスーパーコンピュータよりも短時間で複雑な問題を解決できる。

メルケル首相は量子コンピュータについて、「ハイテク立国ドイツの輝かしい『看板』である点に疑いない」とした。一方で、特に米国や中国が量子技術に莫大な投資をしているとし、「われわれは激しい競争の真っただ中にいる」と指摘した。

ドイツ連邦政府は、2020年6月に決定した景気刺激策「未来パッケージ」(2020年6月10日記事参照)で、量子技術関連に総額20億ユーロを投資すると発表、2021年1月には、専門家で構成される審議会から連邦政府に「量子コンピュータ・ロードマップPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」が答申されている。

大手10社がコンソーシアム設立

また、ドイツ大手企業10社は6月10日、量子コンピュータの自動車、化学・医薬品分野などでの活用を探るため、「量子技術活用コンソーシアム〔キューテック(QUTAC)〕」を設立した。QUTACに参加する10社は、自動車関連産業からフォルクスワーゲン、BMW、ボッシュ、インフィニオン、化学・医薬品からBASF、ベーリンガーインゲルハイム、メルクだ。また、シーメンス、ミュンヘン再保険、SAPも名を連ねる。QUTAC参加企業で研究開発や実証を進め、その成果が産業全体に波及することを想定する。成果は、QUTACのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでも公表される予定。

「ハンデルスブラット」紙(週末版2021年6月11・12・13日)によると、QUTACは、メルケル首相がインフィニオンのラインハルト・プロス最高経営責任者(CEO)に提案して実現に至ったものだという。BMWのオリバー・ツィプセCEOは10日のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、量子コンピュータについて、「最も有望な将来技術の1つで、素材研究や自動運転を革新する」とコメントしている。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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