2023年1月から失業保険制度を開始

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2022年05月19日

アラブ首長国連邦(UAE)政府は5月9日、2023年1月から失業保険制度を開始すると発表した。地元紙の報道によると、対象となるのはUAE国内で就業する国民と外国人居住者全員で、加入は必須となる。被雇用者が失業した場合、就業時に支払われていた給与の60%に相当する額〔月額2万ディルハム(約70万円、1ディルハム=約35円)が上限〕が、一定期間に限り支払われる。

UAE政府は同日、自国民の雇用比率の引き上げ方針についても発表している(2022年5月12日記事参照)。担当省庁である人的資源・自国民化省のアブドゥル・ラフマン・アル・アワール大臣は、失業保険制度が自国民の雇用を推進する上でのセーフティネットとなることに加えて、「世界で最も優れ、最もダイナミックな経済を構築する」ためには、人的資源への投資が重要だと強調している〔5月13日付国営エミレーツ通信(WAM)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。UAEでは、今年9月から外国人に対するビザ制度の緩和を予定する(2022年5月10日記事参照)など、優秀な高度外国人材を集め、国力の増強を図るための施策を同時に進めている。

しかし、今回の発表では依然として不明瞭な点も多い。失業保険への加入方法は、民間企業が用意する保険プランに加入するとされているが、被雇用者が個人として加入するのか、雇用者に一括加入する義務が課されるのかは不明だ。また、保険金が支給される上限の月数や、対象となる「給与」が総額を指すのか、または基本給などの一部となるのかなども、現時点では明示されていない。今後、導入時期が近づくに従って細則が発布されるとみられるが、在UAEの企業は一律に対応を迫られる制度変更となる。

(山村千晴)

(アラブ首長国連邦)

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