UAE政府が自国民の雇用比率の引き上げを決定

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2022年05月12日

アラブ首長国連邦(UAE)内閣は5月9日、民間部門における自国民の雇用比率を、今後毎年2%ずつ引き上げる方針を採択した。これまでも「Nafis」と呼ばれる自国民の就労機会提供・人材育成プログラムにより、自国民の雇用について一定のルールを定めていたが、今回の決定はこの「Nafis」を改正したものになる(5月10日付「ハリッジ・タイムズ(Khaleej Times)」)。

ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム副大統領兼首相(兼ドバイ首長)がツイッターで発表した内容によると、従業員数が50人以上の民間企業において、現在のルールでは2%で良いとされていた自国民のハイスキル人材の比率を毎年2%ずつ引き上げ、2026年までに10%にするとした。これにより、1万2,000人の自国民の雇用が生まれると予測されている。

ただし現時点では、「ハイスキル人材」が具体的にどのような人材を想定しているのかは明らかにされていない。自国民の就労をサポートする「Emirati Talent competitiveness council」のホームページには、自国民の就労斡旋についての業種指定がないため、まずは業種を問わず、自国民の就労を促進することが狙いになるとみられる。これまでの方針では、従業員数50人以上の輸入・卸売り・小売りなどの流通業については、全従業員に占める自国民の割合は2%、保険業では5%、銀行業では4%と定められており、今後細則が出るものと思われる。

前掲の「ハリッジ・タイムズ(Khaleej Times)」によると、UAE政府は自国民の雇用比率向上の目標を掲げると同時に、各種の恩典も付与することを決定した。主な内容は以下のとおり。

  1. 人的資源・自国民化省(Ministry of Human Resources & Emiratization:MOHRE)におけるサービス手数料金を80%割引。
  2. 「Nafis」の給与サポートプログラムにより、プログラマー、看護師、会計士などに就業する自国民に対して、研修期間中は1年間月8,000AED(約28万円、1AED=約35円)、大卒人材については5年間月5,000AED(約17万5,000円)を上限に給与の補助を行う。
  3. 自国民の年金制度にかかる経費に対して、5年分の助成金を提供。
  4. 育児補助として、月800~3,200AED(約2万8,000円~約11万2,000円)を上限に補助を行う。

一方で、自国民の雇用比率を下回る企業については、2023年1月より、欠損人材1人につき月6,000AED(約21万円)を支払うという罰則も定められた。この罰則は従来のルールでは定められていなかった。

また、これまでの運用ではフリーゾーン企業は適用外とされていた。UAEに進出する日本企業の多くがフリーゾーンに入居しているため、今回の改正がどの企業を対象にするものなのか、細則の発表が待たれる。

(吉村優美子)

(アラブ首長国連邦)

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