米財務省のドル建てロシア国債利払い特例措置が終了

(米国、ロシア、ウクライナ)

ニューヨーク発

2022年05月26日

米国でのドル建てロシア国債の元利払いを受け取れる米財務省の特例措置PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が5月25日に失効した。財務省は前日の24日、同措置を延長しないことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。

米国では2月28日にロシア政府などとの取引が禁止されたが(2022年3月1日記事参照)、ロシア国債など債券の元利払いの受け取りは投資家保護の観点から、時限特例として認められていた。財務省報道官が4月4日、ロシア政府が米国の銀行などに保有するドルを使用してロシア国債の元利払いを行うことを禁止する措置を発表してからも(2022年4月6日記事参照)、この特例措置は継続され、ロシア政府は自国で保有するドルを使って元利払いを続けてきたとみられるが、今後は米国ではこの支払い自体ができなくなる。

直近のドル建てロシア国債の元利払い期限は5月27日だが、ロイターによると、ロシア政府は20日に元利払いを行ったことを発表しており、6月23日の利払い期限への対応が焦点になるとみられている。ここで支払いができなければ、債務不履行(デフォルト)と認定される公算が高まるが、通常時にデフォルト債認定をする格付け会社はロシア国債などを判定対象から既に除外している。そのため、今回は国際スワップ・デリバティブ協会が、デフォルトに備えた投資家向け保険の「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」について、返済不履行として保険支払いを発動させるかどうかが、実質的なデフォルト判断の基準となるもようだ(5月20日)。

ただし、ロシア国債などに対してデフォルト認定したとしても、ロシアは国際銀行間通信協会(SWIFT)システムから既に除外されているなど(2022年3月3日記事参照)、国際金融網から排除されている状態にある。そのため、今回の米国の措置をはじめ、欧米各国が金融制裁を科す中、ロシア国債などを通じた資金調達は現実的には難しい状態にある。一方で、欧米の銀行の決算ではロシア向け投資などの損金算入が行われていることから、投資家の間では既に損失計上がかなり進んでいるとみられる。また、ロシア国債の流通規模が小さいことも踏まえると、元利払いが滞ったとしても、デフォルト認定による金融市場への付加的影響は軽微とみられる。

なお、ロシア政府にとっては支払い意思と能力がある中での外部からのデフォルト認定となるため、デフォルトには当たらないとロシア政府が主張することが予想される。

(宮野慶太)

(米国、ロシア、ウクライナ)

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