米財務省、ロシアが米金融機関に保有のドル資金を使用した国債支払いを認めず、デフォルトリスク高まる

(米国、ロシア、ウクライナ)

ニューヨーク発

2022年04月06日

米国財務省は、ロシアが米国金融機関に保有するドル資金を使用したドル建てロシア国債利払いなどを認めなかったことが、4月4日に明らかになった。財務省から正式発表はまだないが、同省報道官がこの方針を明らかにしたことをロイターやブルームバーグなど主要メディアが一斉に報じている。

米国は、ロシアの中央銀行や財務省との取引を2月28日に一切禁止しており(2022年3月1日記事参照)、実質的に米国でのロシアの保有資産は凍結されている状態だが、国債元本償還や利払いについては、投資家保護の観点から例外的に米国口座からのドル支払いを5月25日まで認めるとしていた。今回、ウクライナ・ブチャでのロシア軍の非人道的行為の疑惑が生じたことを受け、期限を繰り上げて制裁強化に踏み切ったもようだ。財務省報道官によれば、今後はロシア政府が米国金融機関に保有する口座からのドル支払いを認めないとしており、ロシア政府はドル建て国債の償還や利払いにつき、現時点で保有するドル資産から支払うか、他の取引で得たドル収入を支払いに充てることになるという。

米国と同じく、EUなど多くの国がロシア政府との取引を禁止しているほか、ロシア中銀の保有資産の国内凍結を実施しており、ロシアによる新たなドル調達は極めて難しい情勢だ。ロシア財務省は3月末に、4月4日に満期を迎えるドル建て国債を自国通貨ルーブルで買い戻す方針を表明しており、約20億ドルの同国債のうち7割程度を買い戻したとされる。これは逆に言えば、それだけドル支払いを避けたいということでもあり、国内保有のドル資産は今後十分でない可能性がある。米国財務省報道官は4日に満期を迎えたドル建てロシア国債の元本支払いなどは約6億ドルあるとしている。この支払いには期日から30日間の猶予期間があり、それまでに支払われれば債務不履行(デフォルト)扱いにはならないが、上記の理由から、ドル建て支払いが行われるかは不透明で、加えて今後もドル建ての元利払いが続く中、デフォルトリスクが高まっている。

国際決済銀行(BIS)によれば、ロシア国債残高が世界全体での国債残高に占める比率は2020年に0.5%と非常に低く、ロシア国債がデフォルトに陥ったとしても国際金融への影響は限定的との見方が大半だ。1998年にロシア国債がデフォルトした際には、先進国の金融市場にも悪影響が及んだが、これは前年のアジア通貨危機直後で金融機関の財務が脆弱(ぜいじゃく)だったことが大きいとされており、これに比べれば、現在の金融市場は相対的に健全だ。一方で、ロシア経済にとっては大きな打撃が生じることが予想され、ルーブル安による国内物価のさらなる上昇や国債を含む債券による資金調達は極めて難しくなる。ブチャでの事件を受けて、米欧は週内にもロシアへの新たな制裁措置に踏み切るとされており、その内容に注目が集まっている。

(宮野慶太)

(米国、ロシア、ウクライナ)

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