4月の中小企業発展指数、3カ月連続で下落、稼働率50%未満が4割超
(中国)
広州発
2022年05月18日
経済団体の中国中小企業協会は5月9日、4月の中小企業発展指数(SMEDI)が前月から0.3ポイント低下し88.3だったと発表した。3カ月連続で前月比マイナスとなった(添付資料図参照)。SMEDIは、8業種の中小企業(注)3,000社に対する調査結果を数値化したもの。下限が0、上限が200で、100を超えると好況、下回ると不況と見なされる。
業種別でみると、主要8業種の全てで景気判断の境目となる100ポイントを下回った(添付資料表1参照)。また、不動産業で92.1と前月比0.1ポイント上昇したが、残る7業種ではいずれも前月から下落した。最も低かったのは宿泊・飲食業で、前月比0.1ポイント低下の80.8だった。
中小企業の景況感を8項目の指数でみると、うち5項目で100を下回り、いずれも前月からさらに悪化した(添付資料表2参照)。うち最も低い数値となったのは「利益指数」で、前月から0.3ポイント低下し73.4だった。原材料コストや人件費などの状況を反映する「コスト指数」は113.6となったが、同指数は、その他の指数とは反対に100を超えると不況、100を下回ると好況を表す。従って、100を上回り、かつ好況を表すのは、資金繰り状況を反映する「資金指数」(100.9)と労働力の需給状況を表す「労働力指数」(105.3)の2項目にとどまった。
なお、同調査の回答企業に4月の稼働率を尋ねたところ、「100%」と回答した企業の割合は17.9%、「75%~100%」は14.0%、「50%~75%」は23.9%、「50%以下」は28.8%、「全く稼働していない」は15.5%だった。
今回の指数の落ち込みに関し、中小企業協会は、中国の中小企業が直面している状況について、以下のとおり分析している。
- 中小企業のコンフィデンスの低迷:世界の新型コロナウイルス感染の高止まりや、ロシアによるウクライナ侵攻が世界経済に大きな影響を与えており、食糧、エネルギー、サプライチェーンのリスクの高まりがインフレ拡大につながっている。中国国内では新型コロナ感染拡大による一部地域での防疫措置強化が需要・供給の両面に影響、安定的な経済運営に向けた難易度が高まっていることも、中小企業の事業の発展へのコンフィデンスに影響している。
- 市場の先行きに関する見通し低下:新型コロナや地政学的な衝突により、国内外の物流が影響を受け、サプライチェーンのスムーズな循環が妨げられている。インフレ圧力の高まり、政策環境の不安定化、資本の流動の阻害要因が増加しており、中国の対外貿易、消費、投資の拡大・回復幅が縮小、中小企業の市場の先行きへの見通しが低下している。
- コスト圧力の継続的な増大:一次産品の価格上昇が川下の中小企業のコストの持続的な増大をもたらしている。一部の企業はコスト圧力に耐えられず、新型コロナによる防疫措置の強化を通じた操業・生産の停止措置なども加わり、事業が停滞している状況が増加している。
こうした中、中国政府は中小・零細企業に対する金融支援や、増値税還付などの支援措置の強化を発表した(2022年5月12日記事参照)。
(注)中国の中小・零細企業の定義は、製造業で「従業員数1,000人以下または年間売上高4億元(約76億円、1元=約19円)以下の企業」、小売業で「従業員数300人以下または年間売上高2億元以下の企業」、飲食業で「従業員数300人以下または年間売上高1億元以下」などと業種ごとに異なる。
(梁梓園)
(中国)
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