税還付や未払い金問題の解決など、中小・零細企業への支援策強化

(中国)

北京発

2022年05月12日

中国国務院の常務会議で5月5日、中小・零細企業や個人事業主への支援をさらに強化し、雇用を安定させる取り組みが発表された。これら企業などが困難に直面する状況が明らかに増えているとの認識に基づくもの。具体的な取り組みは以下のとおり。

  1. 実施予定の税還付や、減税、費用の引き下げ、社会保険料の納付猶予、物流の確保、企業の操業再開に関する政策措置などを着実に実施するほか、零細企業、個人事業主に対する増値税の還付を6月30日までに完了させる。
  2. 金融支援をさらに強化する。2022年の大手国有銀行による零細企業への貸出金を1兆6,000億元(30兆4,000億円、1元=約19円)増やすほか、各地方政府が専用資金を設け、経営上の困難に直面している中小・零細企業や個人事業主向けに家賃、担保費用、ローンの利子などに係る補助金を拠出する。
  3. 5月末までに大手企業、政府関連機関などの中小企業に対する未払い金について網羅的に調査し、支払いが困難な場合は、遅くとも6月末までに返済計画を明確にする。また、未払い金の支払いを2022年の会計検査や国務院の監督検査の重点とし、支払いの滞納行為について厳しく取り締まる。

国務院国有資産監督管理委員会の彭華崗秘書長は「中央国有企業(注1)が未払いを起こさないよう、長期的に有効な予防メカニズムを構築して、中小企業、民営企業への未払いがゼロとなるようにし、中小企業の資金圧力を緩和させるべき」とコメントした(「第一財経」5月6日)。

感染拡大中の北京市も18項目の中小・零細企業支援策を打ち出す

新型コロナウイルスのオミクロン型変異株の感染拡大により、市全域で店内飲食禁止や娯楽・スポーツ施設の営業停止などの措置が取られている北京市も4月22日、「中小・零細企業への支援にさらに力を入れ、困難企業の操業再開を加速させることに関する若干の措置」を発表。「3つの削減・3つの補助・2つの保障」(注2)の方針に基づく4分野18項目の取り組みを打ち出した。同措置では、160万社あまりの中小・零細企業が支援対象となり、政策資金の規模は約1,300億元に達すると見込まれる。

(注1)国有資産監督管理委員会が政府を代表して、出資者の権限を行使する国有企業。

(注2)「3つの削減」は「減税、家賃の削減、防疫対応支出の削減」。「3つの補助」は「ローンの利子や担保費用に関する補助、科学技術型企業のイノベーションに関する補助、新型コロナウイルスによる影響の大きい業種に対する補助」。「2つの保障」は「安定した産業チェーンサプライチェーンの調整メカニズム、中小・零細企業の支援策の着実な実施に関するメカニズムの構築を通じて企業の操業再開と発展に保障を提供すること」を指す。

(趙薇)

(中国)

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