4月の乗用車販売は前年同月比3.8%減、供給網の再構築が課題

(インド)

ベンガルール発

2022年05月23日

インド自動車工業会(SIAM)は5月11日、自動車統計(出荷ベース)を発表した。2022年4月単月の乗用車〔多目的自動車(UV)およびバンを含む〕の国内販売台数は、前年同月比3.8%減の25万1,581台となった(添付資料表1参照)。自動車販売全体では、2022年4月単月の販売台数合計(乗用車、二輪車、三輪車)は、前年同月比11.9%増の142万1,241台だった。

SIAMのラジェシュ・メノン事務局長はプレスリリースで、「乗用車の販売台数は依然として2017年4月の水準を下回っている」と厳しい認識を示したうえで、「供給側の課題が続いており、各メーカーは機敏で柔軟な供給網を構築しようと努力している」と述べた。

2022年4月単月のセグメント別乗用車販売をみると、プラス成長を確保したのは多目的自動車(UV)のみで、前年同月比16.8%増の12万7,213台。一般乗用車は20.1%減の11万2,857台と、減少幅が目立った。

メーカー別乗用車販売をみると(添付資料表2参照)、首位のマルチ・スズキと2位の韓国の現代がともに前年同月比10.2%減で、それぞれ12万1,995台、4万4,001台の販売にとどまった。地場のタタ・モーターズはSIAMの統計には含まれていないが、同社発表によると、65.7%増の4万1,587台を販売し、現代に次いで3位につけた。日系メーカーでは、トヨタが53.6%増の1万4,777台と販売実績を伸ばした。ホンダは13.2%減の7,874台、日産は36.5%減の2,140台となった。

車種別の販売台数上位は、一般乗用車では、スズキのコンパクトモデル(「スイフト」「ワゴンR」など計5万9,184台)、現代のコンパクトモデル(「オーラ」「i20」など計1万9,658台)だった。また、UVでは、スズキの中型UV(「エルティガ」「エスクロス」計1万7,811台)、マヒンドラ&マヒンドラのコンパクトUV(「ボレロ」など計1万4,747台)が売れ筋となった。

4月単月の二輪車販売は114万8,696台で、前年同月比15.4%の増加となった(添付資料1、3参照)。主要部門のオートバイは10.1%増の73万5,360台。スクーター、モペッドなどの小型の二輪車はそれぞれ24.3%増、49.3%増と需要が高かったもようだ。

なお、インド準備銀行(RBI、中央銀行)は5月4日に物価上昇への対応として、金利(レポ金利)引き上げを行っており(2022年5月18日記事参照)、SIAMは同プレスリリースにおいて、ローン金利上昇による自動車需要への影響懸念を表している。

(倉谷咲輝)

(インド)

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