中銀、政策金利を0.4ポイント引き上げ、4.4%に緊急利上げ

(インド)

ムンバイ発

2022年05月18日

インド準備銀行(RBI、中央銀行)は5月4日、金融政策決定会合(MPC)を臨時開催し、政策金利(レポレート)を0.4ポイント引き上げ、即時に4.4%にすることを全会一致で決定した(添付資料図参照)。

RBIのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2月に6.1%だった消費者物価指指数(CPI)上昇率は、3月には7.0%になった。加えて、世界的にインフレ圧力が強まっており、4月会合時のインフレ予測よりも上方リスクが高まっていることから、今回の利上げに至ったとしている。

中銀は、CPIインフレ率中期目標を4%±2%の範囲に設定しているが、2022年1月は6.0%、2月は6.1%と、3カ月連続で目標上限6%を超えたことを受けて緊急利上げに踏み切った。その一方で、経済成長を促進しつつインフレ率を目標内に抑える緩和縮小に集中していく政策スタンスは継続するとしている。

今回は、米国の0.5ポイント利上げの発表より数時間前に0.4ポイント利上げを発表して市場関係者を驚かせたが、レポレートに連動する住宅ローンなどは利上げにも連動しており、金利上昇は経済成長を阻害するとして、株式市場はネガティブに反応することが予測される。今回の措置は、一般的に新興国が金利を引き上げた場合、外資流出を国内にとどめ、さらなる対内投資の増加が期待されるため、インドから資本流出を抑えると同時に、さらなる外資誘致、輸出増加、経済活発化による外貨獲得への狙いと期待とがみてとれる。そのため、今回の利上げは貯蓄、投資、競争力、生産高の伸びを保護するため、成長にプラスになるとの現地報道もある(「タイムズ・オブ・インディア」紙5月4日)。

ニルマラ・シタラマン財務相は「5月4日の緊急利上げはインドだけでなく、米国やオーストラリアなど各国中銀も同日実施した。新型コロナウイルス感染からの回復に向けた政策対応は、インドのみならず世界を取り巻く共通の問題だ」と理解を求めた(「タイムズ・オブ・インディア」紙5月8日)。

(松永宗徳)

(インド)

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