マレーシアへのデジタル関連投資、専用プラットフォームDIO活用を推奨

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年05月27日

マレーシア投資開発庁(MIDA)とマレーシア・デジタルエコノミー公社(MDEC)が連携して組織した「デジタル投資局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Digital Investment Office、以下DIO)」は、デジタル関連分野の投資誘致に特化し取り組んでいる。マレーシア政府は2021年2月に、2030年までの10年計画である「マイデジタル」を発表(2021年3月18日記事参照)。デジタル経済のGDP貢献率向上、新規雇用の創出、スタートアップ創業支援等を目指している。マイデジタルの下、2025年までに700億リンギ(2兆300億円、1リンギ=約29円)のデジタル関連投資を誘致する取り組みの一環として、DIOは2021年4月に設立された。

DIOは物理的なオフィスは持たないが、関係機関間の週次会議を通じて、人材採用やインフラ面の課題解決も含めた投資前後の支援・円滑化に当たっている。従来 MIDA、MDEC、各州政府や経済回廊に分散していた、デジタル企業の投資誘致機能を集約し、交通整理を行うのが主な役割だ。DIOで統合した情報を基に、投資家に対していかなるサポートをどこの組織が提供するか調整するとともに、投資認可手続きに関する各種支援を提供する。なお、MDECがデジタル企業に対して供与するインセンティブにマルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)ステータスがあるが、これを補完する措置としてMIDAは、デジタル技術・インフラ企業を対象としたデジタル・エコシステム・アクセラレーション外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(DESAC)税制優遇を別途導入。こうした諸優遇措置の適用に関する調整もDIOが行う。5月19日にジェトロと面談したMIDAのDIO担当者は、「デジタルビジネスは比較的新しい分野であり、まずどこの窓口にアプローチすればよいのかが不明瞭なケースもあるだろう。DIOは投資家のこうした疑問にも応え、適切なサポートを行う」立場にある。他方で、DIOは立ち上がったばかりの組織であり、潜在投資家への更なる広報も必要だと語った。

プロジェクトベースの支援ツールも準備

MIDAはまた、組織内の一部局としてプロジェクト円滑化調整ユニット(Project Acceleration and Coordination Unit、以下PACU)を設置し、業種問わず投資案件をワンストップで支援する取り組みも進めている。PACUは、2020年6月に政府が発表した短期経済回復計画(PENJANA)下で設立された(PACUポータル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます宣伝用YouTube外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。

投資家と各関連機関(省庁、ライフライン・インフラ関連政府機関、企業など)を橋渡しすることで、認可後の案件が直面する課題の解消に取り組む。各種許認可に関する進捗状況をシステム上で追跡することが可能であり、従来よりもスムーズで一貫した支援を目指す。ジェトロがMIDAに確認したところ、新規プロジェクトのみならず、進出済み企業もPACUを活用できる。MIDAの業種別担当者と既に強い関係を有している場合にはその窓口を、そうでない場合にはまずPACUに問い合わせることが推奨される。前述のDIOも、投資家支援の一環としてPACUと連携した情報提供を行うケースも想定されるという。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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