5G技術導入などデジタルエコノミー発展に注力

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年03月18日

マレーシアのサイフディン・アブドゥラ通信マルチメディア相は3月16日、2021年の同省の目標として、特に第5世代移動通信システム(5G)技術の導入と、サイバーセキュリティー技術の強化を挙げた。また、デジタルエコノミーへの外国直接投資の増加や、クリエーティブ産業の国際化、国営テレビ局の変革も重点分野として取り組むと発言した。

デジタルエコノミーに関する10カ年計画

同省の目標は、政府が2月19日に発表したマレーシアのデジタルエコノミーブループリントの「マイデジタルPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の目標に沿ったものとなっている。「マイデジタル」は、デジタルエコノミーの成長によるマレーシア人の生活向上を目指す2030年までの10カ年計画となっている。計画では、2030年までに実現する具体的な目標として以下を掲げている。

  • 2025年までにデジタルエコノミーによるGDPへの貢献比率を22.6%に引き上げ(2019年は19.1%)。
  • 2025年までにデジタルエコノミーに従事する50万人の雇用創出。
  • 87万5,000社の中小零細企業でEC活用。
  • 今後5年間で5,000社のスタートアップの創業を支援。
  • デジタル分野で国内外から700億リンギ(約1兆8,550億円、1リンギ=約26.5円)相当の投資誘致。
  • 2030年までに経済活動の生産性レベルを30%引き上げ。
  • 全ての政府機関で2022年までにキャッシュレス取引を主要決済方法に。

これら目標を実現するための基盤として、ムヒディン・ヤシン首相は4つのデジタルインフラ構築計画を掲げると発表した(添付資料表参照)。特に、5Gの普及を前提とした光ファイバーネットワークの整備やハイパースケールデータセンターの建設などが含まれる。

デジタルインフラに加え、規制の整備や個人情報保護を含むサイバーセキュリティーなどソフト面の強化にも力を入れ、包括的なデジタルエコシステムの創出を目指すことを強調した。政府は「マイデジタル」による国民のデジタルリテラシー向上、高収入雇用の創出、金融ビジネスの整備、バーチャル教育の充実、遠隔地への医療提供などの実現を目指す。

(田中麻理)

(マレーシア)

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