中銀が政策金利を0.35%に引き上げ

(オーストラリア)

シドニー発

2022年05月06日

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は5月3日、政策金利を0.25ポイント引き上げ、0.35%とすることを決定した。政策金利は2020年11月以降、過去最低の0.10%に据え置かれていたが(2020年11月4日記事参照)、それ以来の利上げに踏み切った。

RBAのフィリップ・ロウ総裁は利上げの背景について「オーストラリア経済の回復力と予想よりも早いインフレの進行により、(新型コロナウイルスの)パンデミック対策として導入した金融支援策を縮小し、正常化に向けたプロセスを開始するのに適切な時期だと判断した」と説明した。オーストラリア経済の回復は労働市場で特に顕著だとして、失業率は2023年初までに約3.5%に低下するとの見通しを示した。また、GDP成長率は2022年に4.25%、2023年に2%に達すると予測した。

ロウ総裁はまた、「オーストラリアのインフレ率は、その他の先進諸国より低いものの、2022年第1四半期(1~3月)の消費者物価指数(CPI)は前年同期比で5.1%上昇しており、世界的な要因だけでなく、国内の生産能力の制約によってインフレ圧力が拡大している」と指摘した。ただし、「短期的にはインフレ率のさらなる上昇が見込まれるものの、供給の混乱が解消されるに従って低下すると予想される」として、CPI上昇率は2022年に約6%に達した後、2024年半ばにかけて約3%に落ち着くとの見通しを示した。なお、ロウ総裁は「インフレ率が目標の範囲内(2~3%)に戻るよう、今後さらに政策金利を引き上げる必要がある」として、追加利上げの可能性にも言及した。

(住裕美)

(オーストラリア)

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