GJ州にインド初の炭素取引市場、州とシカゴ大、J-PALがMOU

(インド)

アーメダバード発

2022年05月31日

グジャラート州政府は5月23日、同州内にインド国内初の炭素市場を設立することを目指し、シカゴ大学エネルギー政策研究所(EPIC INDIA)、およびアブドゥル・ラティフ・ジャミール貧困アクションラボ(J-PAL:The Abdul Latif Jameel Poverty Action Lab)とMOU覚書を締結したと発表した(「タイムズ・オブ・インディア」紙5月24日)。

本覚書は、パテル州首相やデサイ州エネルギー大臣をはじめ、気候変動・鉱山・産業各局の関係者などの立ち会いの下、調印された。シカゴ大学をはじめ、各研究機関から研究者が知見を持ち寄り、キャップ・アンド・トレード方式(注)による炭素市場の導入に向けた制度設計を行う。同市場を活用することで、企業にとってはビジネスへの影響を最小限に抑えながら、温室効果ガス(GHG)排出削減ができる。また州政府にとっても、温室効果ガス削減目標への取り組みが管理しやすくなるという。同プロジェクトの首席研究員であるシカゴ大学のマイケル・グリーンストーン教授は、「カリフォルニア州が米国の環境保護や気候変動対策の進展に道を開いたように、グジャラート州がインドでの先駆者になるだろう」と述べている。

モディ首相は2021年11月1日、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、「2070年までにネットゼロ(GHG純排出ゼロ〕を達成する」と表明していた。今回締結された覚書は、モディ首相の公約の趣旨に沿うものだ(2021年11月5日記事参照)。

同州政府は2019年9月、スーラトにおいて排出量取引制度(ETS:Emissions Trading Scheme)に基づく、世界初となる「粒子状物質の排出権取引市場」をキャップ・アンド・トレード方式でスタートさせた実績がある(2019年6月14日記事参照)。なお、州政府汚染管理委員会(GPCB)は、全ての産業からの総排出負荷に上限を設定した。(「インディアン・エクスプレス」紙2019年9月24日)。

スーラトでの粒子状物質の排出権取引市場の取り組みは、既に350社が有効活用しており、これまでに排出量の24%削減を実現し、同市の大気汚染)の軽減につながっている。GPCBはスーラトでの成功を受けて、同様の取り組みをアーメダバード、バピ、バドダラ、バルーチなど州内の各都市に拡大する予定だとしている。

(注)政府がGHGの総排出枠(上限=キャップ)を設定し、この上限値の範囲内で許可証(キログラム単位)を取引(トレード)する制度。

(古川毅彦)

(インド)

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