ハンガリー政府、2022年の実質GDP成長率予測を下方修正

(ハンガリー、ウクライナ、ロシア)

ブダペスト発

2022年05月11日

ハンガリー政府は、欧州委員会に対し4月29日に提出した「収斂(しゅうれん)プログラム」(注)において、2022年の実質GDP成長率を4.3%とした(添付資料表参照)。収斂プログラムの提出を発表した際に、政府は「競争力を高め、バランスがとれた持続可能な経済成長を実現し、欧州の平均にさらに追いつくことを目指している」と述べた(政府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

政府は、2021年12月に2021~2026年の経済成長予測を発表した際には、2022年の実質GDP成長率を5.9%としていたが、収斂プログラムでは4.3%に下方修正した。その理由は「新型コロナウイルスの流行は経済成長に対するリスクではなくなりつつあるが、ロシアとウクライナの戦争は複数の面で経済に悪影響を及ぼしており、新型コロナ禍からの回復以降のエネルギーや原材料価格の高騰、サプライチェーンの問題を悪化させる可能性がある」と説明された。また、上述の経済成長予測では2023年の成長率は4.3%との予測だったが、これも収斂プログラムでは4.1%と下方修正、その後の2024~2026年は毎年4%台前半の成長率と予測した。一方、経済成長の停滞下でも、財政赤字と政府債務残高は減少を続け、その結果、政府の財政赤字は2021年のGDP比6.8%から2026年には1.0%に、政府債務残高は2021年のGDP比76.8%から2026年には63.1%に縮小すると見込んでいる。

また、2022年の財政赤字について、収斂プログラムでは「GDP比4.9%」との目標を設定した。しかし報道によると、4月の総選挙(2022年4月6日記事参照)の前の20歳未満でかつ就学中の子供がいる世帯への個人所得税還付など(2022年2月21日記事参照)、有権者の耳目を集めるキャンペーンによる支出と、家庭用エネルギー価格の高騰対策に関連する支出が2022年予算に大きな負担となったため、目標達成には大幅な財政調整が必要だという。

他方で収斂プログラムは、予想以上に早い景気回復で、2022年には、新型コロナウイルス流行に対する防御に加え、過去1年間のハンガリーの経済政策の主要目標だった景気刺激策の必要性は低くなるとしている。例えば、財政赤字のGDP比目標を達成するために、政府は既に承認された7,550億フォリント(約2,718億円、1フォリント=約0.36円)の投資を延期すると2021年末に決定している。

インフレ率は2022年を8.9%と予想、国立銀行の目標レンジである、3%かつ上下1ポイント幅に達するのは2024年以降とした。なお、インフレ対策の一環として、オルバーン・ビクトル首相は2022年4月29日、2月から適用中の食料品価格の凍結と燃料の価格統制(2022年1月18日記事参照)は7月1日まで維持すると発表した。バルガ・ミハーイ財務相は同日、「世界の経済環境は変化し、課題も増えているが、規律ある金融政策の目的に変わりはない」と自身のSNSに投稿。

新政権が発足するまでは、以上のような数値目標を達成するための具体的な経済戦略は予想できないが、国会では5月16日の週に首相を選出し、その1~2日後に新政府発足の予定であることから、その後の発表が待たれる。

(注)EUでは、加盟国の過剰な財政赤字を回避し、財政規律を確保するための「安定・成長協定(SGP)」において、各加盟国は毎年4月末までに中期財政目標を含む「安定化プログラム(ユーロ圏)/収斂(しゅうれん)プログラム(非ユーロ圏)」を策定し、欧州委に提出する必要がある。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー、ウクライナ、ロシア)

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