「大企業CEOの報酬は高すぎる」が73%、経済格差への不満拡大、米調査会社

(米国)

米州課

2022年05月17日

米国調査会社ジャスト・キャピタルは5月8日、2月4~7日に実施したCEOの報酬に関する世論調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし(注)、米国民の73%(民主党支持者の81%、共和党支持者の71%)が大企業の最高経営責任者(CEO)の報酬は高すぎるとみていることを明らかにした。

大企業のCEOの平均報酬は3年前と比べ31%上昇した一方、従業員の給与の中央値は11%の上昇にとどまった。両者の報酬比は3年前の212対1から235対1に広がっており、別の調査会社エクイラーが4月18日に発表した調査結果によると、上場企業のうち、売上高上位100社のCEOの平均報酬は2021年に過去最高の2,000万ドルに達した。

また、ジャスト・キャピタルの調査で、回答者の85%は、最低賃金を生活水準まで引き上げることが、米国の大企業が所得格差を是正するための有効な手段と考えているようだ。ジョー・バイデン大統領は2021年4月30日、2022年1月30日以降に募集する連邦政府と労働者の新規雇用契約について、時給を10.95ドルから15ドルに引き上げる大統領令に署名したが(2021年4月30日記事参照)、このような労働者の待遇改善に係る取り組みは、超党派的に支持されていることがわかる。州レベルでは最近、ハワイ州議会が2022年5月4日に最低賃金を段階的に引き上げるための法案を可決し、知事が署名すれば、時給は2028年までに18ドルとなることが決まった(2022年5月13日記事参照)。

豊かな人と貧しい人の格差を重要な問題と捉えている人は全体の73%を占め、民主党支持者の間では91%に上った(共和党支持者:45%)。特に、黒人(96%)とヒスパニック(84%)は、白人(65%)よりもはるかにこれを問題視しており、年齢別にみると若年層(18~24歳:82%、25~34歳:79%)と65歳以上の高齢層(75%)でその傾向が強かった。

最近、ストライキや労働組合結成の動きが活発になっていることに関して、回答者の80%は、大企業が長年、労働者を軽視してきた証左だと考えており、優秀な人材を雇用し、定着させることが難しくなっている状況において、企業は労働者への待遇を再検討すべきと答えた人は81%に上った。

(注)オンラインで実施され、18歳以上の米国人1,037人が回答。

(片岡一生)

(米国)

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