4月の主要経済指標、消費は2桁減に

(中国)

北京発

2022年05月20日

中国の国家統計局は5月16日、2022年1~4月および4月の主要経済指標を発表した(添付資料表参照、注1)。

1~4月の投資(固定資産投資)は前年同期比6.8%増(1~3月は9.3%増)、そのうち民間投資は5.3%増(同8.4%増)、インフラ投資は6.5%増(同8.5%増)となった。不動産開発投資は2.7%減(同0.7%増)だった。

消費(社会消費品小売総額)は1~4月が前年同期比0.2%減、4月単月では前年同月比11.1%減(3月は3.5%減)と2桁のマイナスになった。統計局は、各地での新型コロナ感染拡大で購買や外食が減少したことにより生活必需品以外の財や飲食の消費が大きな打撃を受けた、と指摘した(注2)。

工業生産増加額(付加価値ベース)は1~4月が前年同期比4.0%増、4月単月では前年同月比2.9%減(同5.0%増)とマイナスに転じた。統計局は、特に自動車など設備製造業の生産落ち込みが要因として大きかったと説明した。

消費者物価上昇率は1~4月平均で1.4%となった。4月単月では2.1%で、2021年11月(2.3%)以来の水準になった。

雇用面では、4月末の都市部調査失業率が前月比0.3ポイント上昇の6.1%となり、2020年4月以来の6%台になった。16~24歳の調査失業率は、前月比2.2ポイント上昇し18.2%となった(注3、注4)。

国家統計局の付凌暉報道官は、国際環境の複雑化・深刻化と国内の感染拡大から、予想を超えた影響を受けたことにより、中国経済の新たな下押し圧力が高まったとの認識を示した。他方、今回の感染拡大の影響は一時的なもので、基礎的産業の供給(注5)や物価の安定が保たれていることなどから、中国経済が長期的に発展する基本的前提条件は変わっていないと指摘し、5月の経済指標は改善するとの見通しを示した。国家発展改革委員会政策研究室の孟瑋副主任も5月17日、国内の感染拡大には有効に対処しており、政策の前倒しによる効果が徐々に出てくることにより、経済運営は早期に正常な軌道に戻るだろうと述べた。

有識者の見方としては、経済回復のためにはまず新型コロナ感染拡大の予防・抑制の成果を上げることが重要という見解や、企業や市民の借り入れ需要が弱まっているため、政府が特別国債を発行し、インフラ建設や地方政府の新型コロナ対応支出に充てるべきとの意見が複数みられた(注6、「21世紀経済報道」5月16日)。

(注1)4月の貿易動向については2022年5月13日記事参照

(注2)4月の飲食業収入は前年同月比22.7%減、一定規模以上の宿泊業の収入は30%超の落ち込みとなった。

(注3)国家発展改革委員会政策研究室の孟副主任は5月17日、3月以降の各地での新型コロナ感染拡大や国際情勢の深刻化によって企業の困難が高まり、一部の重点集団の就職難易度が高まっていると指摘した。

(注4)大卒者などの雇用対策については2022年5月19日記事参照

(注5)付報道官は、石炭、石油、天然ガスなどエネルギー関係業種の生産や生肉・冷蔵肉、冷凍食品、インスタント麺などの住民生活に必要な消費財の生産が増加基調を保っていることなどを指摘した。

(注6)2020年には新型コロナ対策特別国債が計1兆元(約19兆円、1元=約19円)分発行された(2020年6月23日記事2021年3月9日記事参照)。

(小宮昇平)

(中国)

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