就業安定化に向け、大卒者を雇用した企業への補助などを実施

(中国)

北京発

2022年05月19日

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中国政府(国務院)は就業の安定化に向けた方針や取り組みを相次いで発表している。

5月11日に開催された国務院常務会議では、財政・金融政策において雇用を優先する方針があらためて強調された。また、税の軽減や還付、社会保険料の納付猶予、資金調達コストの削減により市場主体(企業など)・就業の安定を目指し、基本的な民生、安定成長、消費促進を保障するとした。また、各種の政策ツールをさらに検討・実行し、地方政府の積極性を引き出しつつそれぞれの責任を果たさせるなど、就業の安定化に適切に取り組むとしている。

また、国務院弁公庁は5月13日、「大学新卒者など若者の雇用・起業の促進に向けた取り組みに関する通知」(国弁発[2022]13号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。大学新卒者を雇用する中小・零細企業に対して社会保険料の補助や税の減免などの支援策を実施すること、大学新卒者と1年間以上の労働契約を締結した中小・零細企業に対して補助金を支給(2022年12月31日まで実施)するなど、企業がより多くの大卒者を雇用するよう促すとしている(2022年5月18日記事参照)。

このほか、5月12日に開催された国務院の政策定例ブリーフィングにおいて、人的資源・社会保障部の兪家棟副部長は、2015年以来、雇用安定化を図るべく実施している、企業に対する失業保険料の還付政策を中小・零細企業向けにさらに強化すると説明した。

具体的には、条件を満たす地域において中小企業への保険料の還付率を60%から90%に引き上げるほか、法人口座を持たない零細企業に対しては企業の社会保険納付口座に直接資金を還付することができるようにするとした。兪副部長は「多くの省において初回の保険料還付がすでに完了し、総額30億元(約570億円、1元=約19円)以上の資金が企業に直接還付された」と紹介した。

(趙薇)

(中国)

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