新型コロナウイルス対策特別国債、計1,700億元分を発行

(中国)

北京発

2020年06月23日

財政部は6月15日、新型コロナウイルス対策特別国債の第1期500億元(約7,500億円、1元=約15円)分と第2期500億元分について、23日から市場での取引を始めると発表した。さらに、第3期の特別国債700億元分について、30日から市場での取引を開始する。今回発行される特別国債は計1,700億元分となる。5月29日の国務院常務会議で、「発行しなければならない債券は速やかに発行する」との方針が示されたことを受け、全国人民代表大会(以下、全人代)開催後1カ月以内での迅速な発行となった。

財政部担当者は、償還期間の設定にあたって、国債のイールドカーブ形成を考慮し、最も市場の需要の大きい10年物の国債を主として発行する計画だと説明した。また、光大証券の首席アナリストは、財政部は地方債の発行を5月に集中させ、特別国債と発行時期のピークをずらすなど、6月に特別国債を発行するための環境を整えたとしている(「21世紀経済報道」6月16日)。

調達した資金は地方の末端行政機関に直接交付、公衆衛生施設の整備などに充てる

李克強首相は5月の全人代における政府活動報告で、新型コロナウイルス対策のために1兆元分の特別国債を発行し、財政赤字額の増加分と合わせ、計2兆元を地方経済の支援に充てると表明していた。この2兆元は全額が地方の市・県の末端行政機関に交付され、雇用・民生・市場主体の保障や地方の公衆衛生などに関するインフラ建設および新型コロナウイルス対策関連費用などに充てられる。小規模・零細企業の発展支援、財政補助金、家賃減免のための補助金なども用途に含まれる。また、財政部の許宏才副部長は、資金を交付する末端行政機関に対し、規定の範囲内で資金の使用について統一的に手配することを認め、地方政府の資金使用の自主性を高める必要があるとした。

北京大学経済学院の劉怡教授は、「地方の市・県など末端行政機関に資金が直接交付されることで、企業や国民に直接利益がもたらされるほか、効率的な財政政策執行が実現できる。また、資金の活用において逆周期的(カウンターシクリカル)な調節(周期的な経済の変動を緩和する調節)を一層重視することによって、乗数効果(支出以上の効果を得られること)やレバレッジ効果(投資額に比して大きなリターンを得ること)をさらに発揮できる」と評価している(「経済日報」6月16日)。

(趙薇、小宮昇平)

(中国)

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