2021年の実質GDP成長率は3.4%

(ウクライナ)

ワルシャワ発

2022年05月13日

ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)が5月2日に発表した年次報告書によると、同国の2021年の実質GDP成長率は3.4%だった。新型コロナウイルスの影響を受けた2020年のマイナス3.8%からプラスに転じた。当初予想されていた3.8%より0.4ポイント低かったが、新型コロナ感染拡大前の2019年の実質GDP成長率3.2%をわずかに超えるまで回復した。2022年の成長率についてNBUは前年比約3割減少すると予測している。

2021年末時点の銀行業界の純資産は、小売業や企業への融資の増加により、前年末比12.8%上昇した。純資産総額に占める国有銀行のシェアは46.7%と、前年末から5.8ポイント減少した。金融システムのデジタル革命が進展し、2021年のキャッシュレス決済比率は年初の56%から年末には61%に上昇した。

2021年初から高まっていたインフレ率は2021年10月以降徐々に沈静化したものの、2021年12月に前年同月比10%を記録し、目標値5%(許容範囲±1%)を上回った。NBUはインフレ抑制を狙って1月時点で6.0%だった主要政策金利(キーレート)を段階的に引き上げ、12月に9.0%とした。2022年1月には10.0%に引き上げた(2022年1月27日記事参照)。

NBUは2022年の実質GDP成長率の予測について、ロシアによるウクライナ侵攻前には3.4%と想定していたが、4月14日の発表では前年比で約3割減少すると見込んでいる。IMFはマイナス35.0%、世界銀行はマイナス45.1%(2022年4月13日記事参照)と予測している。

(マルタ・ゴロンカ)

(ウクライナ)

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