中銀、インフレ抑制を狙い政策金利を10%へ引き上げ

(ウクライナ)

ワルシャワ発

2022年01月27日

ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)は1月21日、インフレ抑制を目的として政策金利を9%から10%に引き上げた。2021年12月に続く利上げで、金利が2桁台となるのは2020年4月以来。

NBUの発表(1月20日)によると、2021年12月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比10%だった。同年9月の11%からは若干低下しているものの、下がり幅は予想よりも緩やかで、根底にあるインフレ率上昇の圧力は高まっている。今回の利上げについて、インフレ目標値5%(許容範囲±1%)に向けて物価を着実に引き下げるため、より厳格な金融政策が必要と説明している。なお、9月からのインフレ率の低下については、記録的な豊作や世界的な食糧価格の下落、通貨のフリブニャ高、金融政策の引き締めなどが影響していると指摘する。2020年3月から2022年1月までの政策金利とCPI上昇率の推移は別添資料のとおり。

また、今回の発表では、2022年のインフレ率予測が5%から7.7%に上方修正された。2021年に比べて減速するものの、目標値の5%(許容範囲±1%)となるのは2023年半ばになる、と分析している。インフレ要因としては、世界的なエネルギー価格の高騰や、2021年末以降続くウクライナ国境付近でのロシア軍部隊集結と演習による緊張の高まりを背景としたフリブニャ安を挙げている。2022年の実質GDP成長率についてはやや加速し3.4%と予測しているものの、同様の理由から、経済の急速な回復は抑制されるとみている。

次回の金融政策決定会合は2022年3月に予定されており、NBUは金融引き締め姿勢を維持し、インフレ圧力が続けば、追加の利上げも辞さないとしている。

(今西遼香、マルタ・ゴロンカ)

(ウクライナ)

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