ニュージーランド政府、カナダの乳製品関税割り当てでCPTPP紛争解決手続き開始

(カナダ、ニュージーランド、米国)

米州課

2022年05月17日

ニュージーランド政府のダミエン・オコーナー貿易・輸出成長担当相は5月12日、「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)」に基づくカナダ政府による乳製品の関税割当制度(TRQ)に関する運用について、カナダ政府に対して紛争解決手続きを開始したとの声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ニュージーランド政府によれば、カナダによる乳製品のTRQに関する運用は、CPTPPに基づく義務と矛盾しており、TRQの多くが未達成のままで市場アクセスが不十分としている。これにより、ニュージーランドの乳製品輸出業者が被った損失は、最初の2年間で約6,800万ニュージーランド・ドル(55億800万円、NZドル、1NZドル=約81円)に上るほか、CPTPPの下で割り当ての規模が拡大するにつれて、損失は年々増加するとの見方を示している。

ニュージーランド政府は2022年5月12日付で2国間協議設置要請書をカナダ政府に提出した。カナダ政府側が7日間の猶予期間内に応答した後、両国間で紛争解決に向けた正式な協議を開始する。協議後も紛争が解決されない場合、ニュージーランド政府はパネルに紛争を裁定するよう要請することができる。

オコーナー貿易・輸出成長担当相は、「ニュージーランドは、世界で最も近しいパートナーの1つであるカナダと素晴らしい関係を築いているほか、本問題に関して、カナダが長期にわたってさまざまなレベルで関与していることを高く評価している」としつつ、「良き友人であっても時には意見が一致しないことはある。このような場合の解決のため、CPTPPなどの自由貿易協定における紛争解決メカニズムが存在している」とコメントしている。

本件に関連し、カナダのメアリー・エング国際貿易・輸出振興・中小企業・経済開発相にコメントを求めたが、反応は得られなかったとカナダ国内メディアが報じている(CBCニュース5月12日)。

カナダによるTRQの運用に対しては米国も異論を唱えており、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に違反すると主張している。2022年1月、USMCAの紛争解決パネルによる裁定で米国側の主張が認められた(2022年1月6日記事参照)後、カナダ政府はTRQの変更案を公表し、4月までパブリックコメントを募集していたが、米国の議会や関連産業界からは対応が不十分との批判が出ていた。5月5~6日にカナダを訪問したキャサリン・タイ米国通商代表部(USTR)代表は、「カナダがUSMCAを完全に順守することが重要」と強調、その際に乳製品分野の市場アクセス問題を挙げ(2022年5月11日記事参照)、同問題を「大きな欲求不満の源」と呼んだと報じられている(CBCニュース5月12日)。

(高山さわ)

(カナダ、ニュージーランド、米国)

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