GIFTシティーに三菱UFJ銀行が邦銀初の支店開設

(インド)

アーメダバード発

2022年05月30日

三菱UFJ銀行は5月26日、インド国際金融センター(IFSCA)および日本の金融庁より、インド初の国際金融特区であるGITFシティー(2021年4月1日付地域・分析レポート参照)内に支店開設の認可が降りたと発表した。邦銀としては初のGIFTシティー進出となり、2022年度(2022年4月~2023年3月)上半期開設を目指して準備を進めている。同行は、1953年にムンバイ支店を開設して以来、デリー、チェンナイ、ベンガルールの計4支店と、日系企業が集積するラジャスタン州・ニムラナ日本専用工業団地に出張所がある。

同行プレスリリースによると、同特区では通常オフショアローンの利息に課せられる源泉税が免除されるほか、10年間の法人税免除などの税制面のインセンティブを受けることができるため、近年多くの外資系金融機関が拠点の開設を進めているという。また、インド国内では規制により外貨建貸し出しが原則禁止されているが、GIFTシティーでは外貨建貸し出しが可能なため、顧客の多様な資金ニーズに対応できる。またこれまで主にインド国外から行っていた外貨貸し出し業務が、インド国内から行うことが可能となることで、銀行内の手続きの簡素化が見込まれ、資金調達の多様性、機動性の両面から顧客サービスの向上が期待できるとしている。

GIFTシティー内の金融オフショア取引の経済特区「GIFT国際金融サービスセンター」(IFSC)内には、「国際金融サービスセンター局」(IFSCA:International Financial Services Centres Authority)が設置されており、インドの4つの金融規制当局(RBI、SEBI、IRDAI、PFRDA)の権限が統合され申請案件の許認可を円滑にしている。また、GIFTシティーでは航空機リース事業、船舶リース事業などへの優遇措置、国際海運ビジネスクラスター構想、国際仲裁センターの設置、世界レベルの大学・研究機関の誘致、グリーンファイナンスの強化などが次々と打ち出されているほか、政府系シンクタンクのNITI Aayogと協力したフィンテック分野でのハッカソンなども実施し、関連のスタートアップ企業の育成・誘致にも力を入れている(2021年11月9日記事参照)。

GIFTシティーでは4月に、英国大手会計事務所であるグラント・ソントンが業務を開始し、シンガポール証券取引所(SGX)も7月に取引開始予定を発表(2022年5月12日記事参照)、また新開発銀行(NDB)が事務所開設を発表するなど、新たな動きが相次いでいる。

(古川毅彦)

(インド)

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