SNI強制品目の海外工場監査、入国緩和により再開へ

(インドネシア)

ジャカルタ発

2022年05月30日

インドネシア国家規格(SNI、注)制度の海外工場監査が再開される見通しとなってきたことが、ジェトロによる関係者へのヒアリング(5月17~19日)で明らかになった。同制度の海外監査は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の入国規制強化により、2020年から停止状態となり、日系企業などが問題視していた。

インドネシア工業省管轄のSNI強制規格品の認証には、1年に1回の工場監査が義務付けられている。また、政令2021年28号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、検査機関である政府公認の製品認証機関(LSPRO)はインドネシア国内に所在しなければならないとされており(38条6項d)、また、検査員はインドネシアに住むインドネシア国籍の人でなければならない(39条e)と規定している。2021年は新型コロナウイルスの感染状況悪化により、日本、タイなどは外国人の入国を一時的に停止していたため、1年に1回必要な海外工場の監査も停止する事態が続いていた(2021年6月29日記事参照)。

2022年に入り、新型コロナウイルスの感染状況改善などを背景に、日本企業の工場が多く所在する日本(外務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますウェブサイト)やタイ(2022年5月11日記事参照)などで入国条件が緩和された。ジェトロのヒアリング(2022年5月17~19日)では、以下の通り、各社とも海外工場監査再開に向けて対応し始めていた。入国規制の緩和に伴い、2020年8月より続いていた海外工場監査停止問題は、収束するものと思われる。

  • LSPRO スコフィンド社(SNI認証検査機関):2022年6月に日本出張を準備中。
  • LSPRO TUV社(SNI認証検査機関):2022年6月に日本出張を準備中。
  • 日系A社:LSPROによる工場監査を2022年6月に実施することで準備に入っている。
  • 日系B社:2022年8月にSNI認証更新時期だが、すでにLSPROより海外監査可能との回答を入手している。
  • 日系C社:次回2022年9月に定期監査をタイで実施をすることで準備をしていく。
  • 日系D社:現地生産・調達へシフトしたため、海外工場からの輸入は無くなる方針。

留意点としては、国産化優先政策(P3DN)が継続している点だ。インドネシア政府が国産化を奨励していることから、今後もSNI認証更新のたびに完成品輸入から現地生産化への誘導は続く可能性がある。SNIは品質監査のため、輸入数量規制には本来関連しないものだが、引き続き同政策の動向に注意が必要だ。

(注)インドネシア独自の国家品質規格で、自主管理規格品と強制規格品(認証の取得義務がある品目)に分かれる。工業省、公共事業・国民住宅省、エネルギー・鉱物資源省、運輸省などが、合計で約246品目を強制規格品に指定。この場合、輸入通関時にSNI認証の提示が必要。認証取得には、政府公認の製品認証機関(LSPRO)に申請し、監査を受ける。詳細は「インドネシア国家規格(SNI)に関するQ&A(2020年3月)」を参照。

(中沢稔)

(インドネシア)

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