国家規格強制品目の海外工場監査問題、ジェトロが工業省にヒアリング

(インドネシア、日本)

ジャカルタ発

2021年06月29日

インドネシア国家規格(SNI、注)に関して、政府公認の製品認証機関(LSPRO)のうち、ドイツ系のTUVと、国営のSucofindoが海外工場監査業務を一時停止すると発表した。このため、両機関を活用してインドネシアにSNI強制規格品を輸入する日系企業で、海外工場監査が実施できないためSNI認証が取り消され、結果としてインドネシアでの輸入通関ができなくなるのではないかとの懸念が生じている。

ジェトロは6月17日、工業省のエヌー・ロスデニ工業規格策定・適用・制定センター(P4SI)長にヒアリングを行った。

SNI強制規格品の246品目のうち122品目は工業省の管轄で、同省は独自に年1回、国内外の全ての工場を対象に工場監査を義務付けている。2月に公布した政令2021年第28号では、LSPROの業務範囲は認証とテスト、検査で、厳格な監査実施を求めている。

(問)LSPROに海外工場監査の停止を指示したのか。

(答)リモート監査は、SNI認証に関する回状202/BPPI/IND/Ⅷ/2020(添付資料参照)に基づき、2020年8月31日から廃止した。実地監査は国内外ともに継続している。また、工業省では現在、回状B90/BSKJ/IND/II/2021(添付資料参照、仮英訳)に基づき、LSPROの適正能力を求め、不適格な機関は監査を行ってはならないとしている。不適格かどうかは、商品特性と認証能力によって個別に判断する。現在活用するLSPROが不適格となった場合は、工業省で別のLSPROを紹介できるため、問い合わせてほしい。

(問)現在、新型コロナウイルス対策による入国規制により、インドネシア人の日本への入国が難しいが、日本での工場監査はどうなるのか。

(答)「新型コロナ禍」でも実地監査は義務としている。日本の入国制限措置はインドネシア側の問題ではない。インドでも同様の状況にある。

(問)「新型コロナ禍」に鑑み、SNI有効期限を延長してほしいとの要望にはどう対応するか。

(答)有効期限延長の要望がある場合は、まずはLSPROと協議してほしい。順序としては、LSPROから工業省へ「延長しても品質面で問題ない」との見解を提出。その後、工業省で可否を判断することになる。

このヒアリングの結果から、強制規格品を輸入している各企業は、今後も細心の注意が求められる。

(注)インドネシア独自の国家品質規格で、自主管理規格品と強制規格品(認証の取得義務がある品目)に分かれる。工業省、公共事業・国民住宅省、エネルギー・鉱物資源省、運輸省などが合計で約246品目が強制規格品に指定。この場合、輸入通関時にSNI認証の提示が必要。認証取得には、政府公認の製品認証機関(LSPRO)に申請し、監査を受ける。詳細は「インドネシア国家規格(SNI)に関するQ&A(2020年3月)」を参照。

(中沢稔)

(インドネシア、日本)

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