新型コロナ対策に伴う封鎖管理、経済成長に下押し圧力

(中国)

上海発

2022年04月04日

中国で2月中旬以降、新型コロナウイルス感染拡大の事例が複数地域でほぼ同時に発生するなど、感染拡大が続いている(2022年4月1日記事参照)。これを受け、上海市など中国各地で封鎖管理が実施され、経済活動も停滞を余儀なくされている(2022年3月16日記事2022年4月1日記事参照)。

こうした状況は経済成長の下押し圧力となっている。中国国家統計局と中国物流購買連合会が3月31日に発表した製造業購買担当者指数(PMI)は、好不況を判断する節目の50を下回る49.5となった。一部地域で発生した企業の一時的な生産停止などが関連企業の正常な生産活動にも波及したことなどを理由に挙げている。一部の調査対象企業からは、今回の感染拡大の影響で人員不足や、物流輸送の停滞、納品サイクルの延長が生じているとの声が上がった。3月のサプライヤー配送時間指数は46.5と、初期の新型コロナ感染拡大期の2020年3月以来の低さとなり、製造業のサプライチェーンの安定性に一定程度の影響を与えている。

中国首席経済学者フォーラムの汪涛理事(UBSアジア経済研究主管、首席中国経済エコノミスト)は「オミクロン株の感染力が極めて強いことを考慮すると、厳格な防疫制限措置が長く続き、複数の都市が封鎖されることで経済活動が制限され、労働市場や消費が低迷、またその状況が長期化する可能性がある」(「第一財経」4月1日)と指摘している。その上で汪理事は「中国政府は2022年の実質GDP成長率を5.5%前後にするという目標を掲げているが、政府は目標実現のための全面的な刺激措置は実施しないと予測している。その場合、5.0%という成長率予測も下振れするリスクがあるほか、2022年の大部分の期間に厳格な新型コロナ感染拡大防止措置が実施された場合は、成長率は4%にまで低下する可能性もある」(同)との見方を示している。

(高橋大輔)

(中国)

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