再生可能エネルギー拡大へ関連法改正案を閣議決定

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2022年04月18日

ドイツ連邦政府は4月6日、複数のエネルギー政策関連法の改正法案をまとめた「イースター・パッケージ」を閣議決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同パッケージは連邦政府による気候変動対策の「即時プログラム」の一部で、4月末までに発表するとされていたもの(2022年1月18日記事参照)。再生可能エネルギー法(EEG)や、洋上風力エネルギー法、エネルギー産業法などの関連法の改正法案をパッケージとして1つにまとめたもので、過去数十年で最大規模の改正になる。

現行のEEGは2021年に改正・施行され、2030年までに電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合を65%まで増やすことや、2050年までに国内で発電・消費される電力部門について気候中立(温室効果ガス排出実質ゼロ)とする目標を定めている(2020年12月28日記事参照)。

今回の改正法案では、EEGと洋上風力エネルギー法に「再生可能エネルギーの設備は最優先の公益であり、公共の安全に資するもの」という条文を追加。これにより、気候中立が達成されるまでは導入や検討の際の利害調整で再エネ導入が優先される。また、EEG改正で、2030年までに電力消費量の80%以上を再エネとし、2035年以降は国内で発電・消費される電力部門はほぼ気候中立とすると目標を厳格化。なお、2021年の電力消費量に占める再エネの割合は約42%(2021年12月24日記事参照)で、再エネによる発電量は2021年予測値で240テラワット時(TWh)だ。2030年にドイツの電力総消費量を750TWhと仮定すると、その80%は600TWhで、大幅な再エネ導入が必要になる。目標の厳格化や前倒しのため、拡大スケジュールも見直した。EEGで定める太陽光、陸上風力発電の2年ごとの設備容量拡大目標は大幅に引き上げる(添付資料表参照)。なお、EEGの改正だけでは解決できない、陸上風力発電に利用可能な土地の不足などの障害を取り除くべく、政府は別途「夏のパッケージ」による対策を予定している。また、洋上風力エネルギー法で定める洋上風力発電の設備容量の拡大目標も引き上げる。現行法では、洋上風力の設備容量を2030年までに20ギガワット(GW)、2040年までに40GWまで拡大と定めている。これを、2030年までに30GW以上、2035年までに40GW以上、2045年までに70GW以上に引き上げる。

このほか、バイオマス発電や水素の利用を拡大するため、再エネ発電所と水素によるエネルギー貯蔵・再電化を組み合わせた施設への助成なども盛り込んだ。

ロベルト・ハーベック経済・気候保護相は同パッケージについて「ドイツのエネルギー安全保障とエネルギー主権のための条件を整えると同時に、ドイツの気候中立達成の基礎を築く」と述べた。

「イースター・パッケージ」は今後、連邦議会(下院)で審議に入り、2023年1月1日の施行を目指す。

(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)

(ドイツ)

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