再生可能エネルギーの割合減、2030年までの目標達成に課題残る

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2021年12月24日

ドイツの連邦エネルギー・水道事業連合会(BDEW)とバーデン・ビュルテンベルク州太陽エネルギー・水素研究センター(ZSW)は12月15日、2021年の電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合が、前年比で3.4ポイント減の42.4%となるとの試算を発表した(同連合会プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。前年比減の主因は、天候による風力発電の不調と分析している。太陽光発電による発電電力量が4.9%増加した一方、特に上半期に前年に比べ風が弱い日が多かったため、風力発電による発電電力量が大きく減少した(添付資料表参照)。再生可能エネルギーによる発電電力量のうち、最も大きい割合を占める陸上風力発電が12.0%、洋上風力発電が7.3%、それぞれ減少した。このほか、国内の経済活動の回復に伴い、電力消費量が2.9%増加したことも前年比減の要因として挙げた。

12月8日に発足したショルツ新政権(2021年12月9日記事参照)は、2030年までに国内の総電力需要680〜750テラワット時(TWh)のうち、80%を再生可能エネルギーで供給することを目標として掲げている(2021年11月26日記事参照)。

BDEW執行委員会の委員長を務めるケルスティン・アンドレエ氏は「新政権の目標達成には、再生可能エネルギーの拡大の障壁や制約を取り除き、連立協定書にある対策を可及的速やかに実行すべき」と述べた。特に、計画立案や承認手続きの迅速化、国土面積の2%を陸上風力発電所に利用許可すること、洋上風力の拡大、太陽光発電の拡大に関する行政上の複雑な手続きなどの障壁を取り除くことが必要だとした。また、電力網の再編と拡張も重要だと強調した。

また、ZSWの執行役員フリトヨフ・シュタイス氏は「再生可能エネルギーの拡大は経済にとっても、広範囲な投資プログラムとなる」と指摘した。また「気候保護に関する取り組みが雇用を確保しながら未来志向の経済を実現する原動力となるため、ドイツ国内に既存の産業のほか、太陽光発電関連の産業など新たな分野の生産拠点の設立も不可欠だ」と述べた。

(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)

(ドイツ)

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