米運輸省、交通インフラの二酸化炭素排出量削減に向け、州と自治体に総額64億ドルの支援を発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年04月27日

米国運輸省(DOT)は4月21日、州政府および自治体が実施する交通インフラにおける二酸炭素の排出量削減プロジェクトに64億ドルを拠出すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2021年11月5日にインフラ投資雇用法が成立しており(2021年11月9日記事参照)、同法の予算を活用して、2022年から2026年までの5年間にわたり資金が拠出される。米国では、輸送部門が温室効果ガス(GHG)排出量の33%(2020年)を占めており、2030年のGHG排出量50~52%削減(2005年比)目標に向けて、同部門の排出量削減は急務となっている。

支援の対象となるプロジェクトは、高速道路の混雑緩和や貨物車・自家用車の電動化、港湾システムの電動化、街路照明の省エネ化、歩行者および自転車専用レーンの設置など幅広い。支援を希望する自治体は、二酸化炭素の削減計画を提出し審査を受ける必要があるが、当局と協議して同計画を策定すれば、計画完成前および審査前であっても資金提供を受けられる可能性がある。DOTによれば、今後5年間で最も資金支援を受ける可能性がある州は、上位から順にテキサス州(641万ドル)、カリフォルニア州(555万ドル)、フロリダ州(320万ドル)となっている。

バイデン政権は、エネルギー価格の高騰を理由に、戦略石油備蓄の放出や公有地での石油・ガス開発リース再開(2022年4月1日記事4月21日記事参照)などを通じて、一時的に化石燃料の供給を優先しているが、エネルギーシフトは各地域で着実に進んでいる。カリフォルニア独立電力管理機構によると、カリフォルニア州の送電網における再エネ電源比率は2022年4月3日に一時97.6%となり、過去最高を記録した。連邦レベルでも、エネルギー情報局によると、3月29日に風力発電量は毎時2,017ギガワット(GW)で総発電量の19%に達し、火力発電(31%)に次いで初めて2番目に大きい電力源になった。また、内務省は2025年までに公有地で計25ギガワットの太陽光、風力、地熱発電所を建設するとの目標を掲げており(2021年12月27日記事参照)、4月20日時点で2022年度と2023年度に約12ギガワットの計画を承認する見通しを示している。

(宮野慶太)

(米国)

ビジネス短信 c3e53a846b9d45ea