米州人権裁判所がフジモリ元大統領の釈放中止を求める決議

(ペルー)

リマ発

2022年04月13日

米州人権裁判所(IACHR)は4月7日、3月30日にIACHRが暫定的に差し止めを求めた、ペルー憲法裁判所(TC)によるアルベルト・フジモリ元大統領の恩赦釈放回復判決(2022年3月18日記事2022年4月1日記事参照)について、その実行を中止するようペルー政府に求める決議を下した。

同決議でIACHRは、もともとの恩赦が無効化された2018年5月30日時点でのIACHR判決で、ペルー政府に対して求めてきた「フジモリ元大統領の健康状態の緊急性(釈放以外の治療環境整備の可否)」「政府に対する賠償金の支払いの有無」「刑期の大半を済ませていること」「事件捜査への協力姿勢と事の重大さの認識を示していること」「釈放により事件被害者とその家族に与える影響」などの点に関する精査を釈放の条件としていることを指摘。これに関して、2022年5月13日までに同精査に関する報告書を提出するよう求めた。

IACHRの決議について、ペルー政府からはセサル・ランダ外相が自身のツイッターで決議内容のみを報告したが、それ以外は現時点でペドロ・カスティージョ大統領やその他の閣僚からの反応はない。一方、フジモリ元大統領の長女で野党右派のフエルサ・ポプラール(人民勢力:FP)党のケイコ・フジモリ党首は、報道陣の取材に対して「今回の父に対する仕打ちを沈痛な思いで受け止めた。今回の決議で父に2度目の失望感を与えた。釈放の遅れは意図的と思わざるを得ない。父のような病を抱える高齢者に対して不公正あり非人道的だ」とコメントしている。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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