米州人権裁判所がフジモリ元大統領の釈放を暫定的に止める方針示す

(ペルー)

リマ発

2022年04月01日

米州人権裁判所(IACHR)は3月30日、ペルー憲法裁判所(TC)が3月17日に下したアルベルト・フジモリ元大統領の釈放決議回復判決(2022年3月18日記事参照)による釈放を、IACHR内部の通常審議会での結論が出るまでの暫定的措置として実行しないようにペルー政府に求めた。また、4月1日の午後1時から2時半(IACHR所在地のコスタリカ時間)にかけてリモート形式で開催されるIACHR第147回通常審議会の場で、被害者団体、ペルー政府と米州人権委員会のそれぞれの代表を招いての公聴会を開催すると発表した。

IACHRの要請に対して、ペルー政府の対IACHR国家訴訟代理人であるカルロス・レアーニョ・バラレソ弁護士は、その内容を国家刑務所機関(INPE)と憲法裁判所(TC)に即日伝えたとしている。また、被害者団体の代理人であるカルロス・リベーラ弁護士は「今回のIACHRの暫定措置で、取り急ぎ釈放を阻止できた。今後はTC判決を再び無効化することを求めていく」と、「エル・コメルシオ」紙の取材に対してコメントしている。

一方、フジモリ元大統領の長女であるケイコ・フジモリ氏は、自身のツイッターを通じて音声で「著名な国際裁判所が決議でさえもない文書でもって、またしても私の父の釈放阻止という不公正な仕打ちをしている。われわれ家族は、父には人権はもとより命の権利さえも与えられない現実に心を痛めている。このような心もとなく不公正な手段に対する判断は政府の手中にある。少しでも公平な判断がされるのであれば、TCの判決を無視することはしてはならない。万が一、このような邪悪かつ非人道的な行動に屈することがあれば、われわれ家族は、現政権に、アルベルト・フジモリの命と健康の責任を負わせることになるだろう」との声明を発表している。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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