現地日本語教師向け研修開催、日本語人材の裾野拡大に期待

(バングラデシュ)

ダッカ発

2022年04月11日

日本政府支援による「バングラデシュ人日本語教師基礎研修」の修了証明書授与式が3月19日、バングラデシュ日本語教師会(以下、JALTAB)により、ダッカ大学において開催された。

JALTABは2016年、バングラデシュにおいて日本語および日本語教育のプレゼンスを高めるため、また、日本語教師の質の向上を図るために設立された団体だ。設立以来、在バングラデシュ日本大使館や国際交流基金ニューデリー事務所などからの支援の下、教師間での日本語教授法に関する勉強会や、戦争・平和について日本語を通して考える「広島デー」といった当地日本語教師向けセミナーを開催するなど、中立的な立場から活動を行っている。

当地では近年、日本語学習者・日本語学校・日本語教師数のいずれも増加傾向にある。一方、日本語の教授法が課題の1つであるものの(2022年4月4日記事参照)、「新型コロナ禍」でその改善の機会が限られていた。2022年1月から、JALTAB会員の日本語教師28人を対象とし、バングラデシュの日本語教育界で初の試みとなる約2カ月間・計60時間におよぶオンライン研修が実施された。同研修では、JALTABのモハンマド・アンサルル・アラム会長、岡林邦明事務局長などによる、日本語教育の教授法を中心とした講義や、在インドの日本語教師との「ソーシャルメディアを通した日本語学習」に関する議論などが行われた。

修了式に出席した伊藤直樹駐バングラデシュ大使は「バングラデシュの日本語教育の発展のため、同分野に可能な限り支援していきたい」とのメッセージを寄せた。また、岡林事務局長は「バングラデシュ人の日本語教師は、日本留学など経験はあるものの、現状、教授法に関する知識が非常に乏しい。今回のオンライン研修は、教授法に関する意識変化をもたらすきっかけとなった。今回の研修が、当地における日本語教育の質の向上に寄与することを期待している」と話した。

2022年内に、バングラデシュ経済特区(BSEZ)の操業が開始されることを受け(2021年9月17日付地域・分析レポート参照)、今後、日系企業の進出が一層期待される中、日本語人材の不足が懸念される。今般の取り組みを通じ、バングラデシュにおける日本語人材の裾野が拡大し、現地日系企業で就労可能な日本語人材の層も厚くなることが期待される。

写真 修了式の様子(3月19日、ジェトロ撮影)

修了式の様子(3月19日、ジェトロ撮影)

(八百板翼、山田和則、安藤裕二)

(バングラデシュ)

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