物価問題に関する閣僚会議開催、油類税の引き下げ幅を30%に拡大

(韓国)

ソウル発

2022年04月08日

韓国政府は4月5日、ホン・ナムギ経済副総理兼企画財政部長官主宰による「物価問題に関する閣僚会議」を開催し、最近の物価動向を踏まえた政府の追加対応策を決定した(2022年3月8日2022年4月5日記事参照)。物価の動向や対策の概要は以下のとおり。

1.物価の動向

3月の消費者物価上昇率は前年同月比で4.1%で、約10年ぶりに4%台の上昇率を記録した。ロシアによるウクライナ侵攻の影響が本格化し、石油類の価格が前年同月比31.2%増となったことが物価上昇の主な要因となった。農畜産水産物の価格は安定的な傾向にあるものの、加工食品や外食部門の価格は上昇傾向にある(注1)。

2.対策の概要

エネルギー:

(1)5月1日から3カ月間、油類税の引き下げ幅を現行の20%から30%に拡大する(注2)。

(2)液化天然ガス(LNG)に対する関税割り当ての無税措置を7月末まで3カ月間延長する(注3)。

(3)軽油価格の値上がりによる公共交通や物流業界の負担を軽減するため、5月1日から3カ月間、軽油の油価連動補助金を支給する。軽油の基準価格〔1リットル当たり1,850ウォン(約185円、1ウォン=約0.1円)の超過分の50%を支援する(支援の上限は同183.21ウォン)。

原材料:

(1)アルミニウムストリップ、ダイカストアロイなど二次電池や自動車関連品目に対し、12月末まで関税割り当ての無税措置を継続する。

(2)6月30日まで、備蓄原材料放出時に1企業が利用可能な掛け売り販売の年間上限額を30億ウォンから50億ウォンに拡大する。

国際穀物:

(1)食用トウモロコシについては、ルーマニアとの追加契約で需給の逼迫が一部緩和されたものの、代替原料使用の可能性を検討する。

(2)4月中に飼料用小麦とトウモロコシの代替として、殻麦の関税割当枠を25万トン、麦かすは6万トンに拡大する。

(3)4月中に輸入依存度の高い大豆、調製ピーナッツに対する関税割当枠を、大豆25万4,000トン、調整ピーナッツ1万500トンに拡大する。

(4)チップ用ジャガイモの季節関税を適用しない期間(5月~11月)に関税割り当てを適用し、1万2,810万トンの無税枠を適用する。

(注1)農畜産水産物の消費者物価上昇率は、1.6%(2月)から0.4%(3月)に低下。加工食品は5.4%(2月)から6.4%(3月)、外食は6.2%(2月)から6.6%(3月)に上昇。

(注2)ガソリンの場合、油類税が1リットル656ウォン(20%引き下げ時)から同573ウォン(30%引き下げ時)となり、1日40キロ走行、燃費1リットル10キロの車で、月3万ウォンの負担軽減となる。軽油とLNGブタンも同様に追加引き下げを実施。

(注3)4月中に関税割り当ての適用に関する規定を改正する予定。

(当間正明)

(韓国)

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