ドイツ、ロシアからのガス供給不足に備え「早期警戒」を初めて発令

(ドイツ、ロシア、ウクライナ)

デュッセルドルフ発

2022年04月12日

ドイツ経済・気候保護省は3月30日、「ガスに関する緊急計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」のレベル1である「早期警戒」を初めて発令(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

同緊急計画は2019年9月に発表され、危機状況下のガス供給の調整や、最終的には政府の介入を可能とする。同計画は(1)「早期警戒(early warning)」、(2)「警報(alert)」、(3)「緊急(emergency)」の3段階があり、今回の「早期警戒」では、経済・気候保護省や連邦ネットワーク庁、ガス供給事業者などで危機管理チームを結成する。同チームは連邦政府のために供給状況を分析・評価することが求められる。この段階では政府の介入はなく、ガス供給事業者らが安定供給のために必要な措置を講じる。

初の「早期警戒」発令の背景には、ロシア産天然ガスの支払い通貨の問題(2022年4月7日記事参照)により、ロシアからのガスの供給が脅かされていることがある。

なお、「ガスに関する緊急計画」の最終段階の「緊急」では、政府が市場に介入する。連邦ネットワーク庁が天然ガスの配給を担当し、一般家庭や病院などの社会施設、ガス火力発電所など保護が必要な特定の対象に対し、可能な限り最後まで供給する。

ロベルト・ハーベック経済・気候保護相は「現在、ガスの供給不足はないが、ロシア側が状況を悪化させた場合に備え、措置の強化が必要だ」と述べた。「早期警戒」による消費者や製造業への影響は当面ないが、さらなる物価上昇の可能性は排除できない。また、経済・気候保護省は企業や一般家庭に対して、今すぐ可能な限り天然ガス消費を節約することを呼び掛けた。さらに、夏の間はロシア産の天然ガスがなくとも問題ないが、次の冬のガス供給を保証するには、一層のガス節約対策が必要と指摘した。なお、ドイツのロシア産天然ガスへの依存度を下げる対策は「エネルギー安全保障の進捗報告書」にまとめている(2022年4月6日記事参照)。

経済団体からは早期警戒を歓迎する声明もある一方、ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は、企業の立場は早期警戒発令は政府の責任感ある行動と評価しつつも、「ロシア産天然ガスが供給停止となった場合、経済全体に深刻な影響が出る。あらゆるバリューチェーンに悪影響を与える」と、今後の状況に強い懸念を示した。また、ノルトライン・ウェストファーレン州経済・イノベーション・デジタル化・エネルギー省は「ドイツは現在、ウクライナ軍事侵攻による影響と、気候保護目標という2つの大きなエネルギー政策の課題に直面している」と指摘した。

(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)

(ドイツ、ロシア、ウクライナ)

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