ロシア、ガス代金のルーブル払いに関する大統領令が施行

(ロシア、米国、EU、英国、スイス、シンガポール、日本、カナダ、ニュージーランド、台湾、ウクライナ、韓国、オーストラリア)

欧州ロシアCIS課

2022年04月07日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2022年3月31日付大統領令第172号「外国の購入者がロシアの天然ガス供給業者に対する義務を履行するための特別な手続きについて」に署名、即日発効した。3月23日にプーチン大統領が、ロシア産天然ガスを購入する非友好国企業にルーブルでの支払いを求める方針を明らかにしたことを受けての措置。しかし、外国ガス購入企業が指定銀行の特別口座に外貨で払う選択肢も設けられ、ガス購入企業および外資銀行による為替リスクの負担がなくなったため、大きな影響は生じないとみられている。

大統領令では、対象は4月1日以降に輸出される「ガス状」の天然ガスとされ、事実上、ガスプロムがパイプラインを通じて輸出するガスで(「ベドモスチ」紙4月3日)、かつ非友好国(2022年3月9日記事参照)向けに供給されるガスまたは非友好国企業が購入するガスが対象とされる。なお、非友好国に含まれる日本もロシアから天然ガスを輸入しているが、液化天然ガスのみだ。

大統領令によると、外国のガス購入企業は、大統領令で指定されたガスプロムバンクにルーブルと外貨の勘定を併せ持つ特別口座を開き、代金決済をする必要がある。ガスの購入企業が、外貨でガスプロムバンクにある自身の外貨建て特別口座に振り込む。ガスプロムバンクはモスクワ証券取引所を通じて入金された外貨を売却し、ルーブルを買い入れてガス購入企業のルーブル建て特別口座に入金し、この口座からガスプロムに代金を支払う。

ドミトリー・ペスコフ大統領府報道官は、大統領令施行後の新規の取引は4月下旬または5月上旬に予定されており、ガスプロムバンクでの特別口座の開設を拒否する場合は大統領令に違反することになり、ガス供給が遮断される。しかし、欧州の企業にとっては外貨での支払いが可能で、今までの外貨決済と何も変わらないだろうと強調した(「ベドモスチ」紙4月3日)。

3月23日のプーチン大統領によるルーブルでの支払い義務付けに関する発言を受け、多くの国々がルーブルで支払うことに反対していた(「イズベスチヤ」紙3月31日)。ドイツのロベルト・ハーベック経済・気候保護相は31日の記者会見で「天然ガスのルーブル払いを要求することで西側諸国を分断しようとするロシアの試みは失敗した」と強調し、オラフ・ショルツ首相も、ドイツ企業は契約で規定されたとおり、ロシア産天然ガスの代金を引き続きユーロで支払うと述べた(ロイター通信4月1日)。

プーチン大統領は2月28日に、対ロ制裁への対抗策として、ロシア居住者に対して獲得した外貨の強制売却の大統領令を発令しており(2022年3月4日記事参照)、今回の大統領令も、ロシア企業が外貨を持たないように強制売却をさせる仕組みだ。

(小野塚信)

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