習国家主席、欧州に自主的な中国政策を希望

(中国、ロシア、ウクライナ、EU)

北京発

2022年04月12日

中国の習近平国家主席は4月1日夜(中国時間)、欧州理事会のシャルル・ミシェル常任議長、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長とオンライン会談を行った(EU側の発表は2022年4月4日記事参照)。双方の協力やウクライナ情勢について意見を交わした。

習国家主席は、2014年4月1日の欧州大学院大学での講演で述べた、中国は欧州と共に平和、成長、改革、文明の4つの面でパートナーシップを築きたいという願いは変わっておらず、現在の状況下ではさらに現実的な意義を有している、と指摘した。また、中国と欧州には幅広い共同の利益と固い協力の基盤があり、中国の欧州に対する政策は安定し一貫しているとし、欧州側でも自主的な中国への認知を形成し、自主的な中国政策を行うよう希望した。

習国家主席は世界の平和維持のため、双方が率先して、国連を中心とする国際システム、国際法を基礎とする国際秩序、国連憲章の趣旨と原則を基礎とする国際関係の基本ルールを守り、東西対立的思考の復活や、「新冷戦」をつくり出すことに反対する必要があるとした。さらに、習国家主席は、中国のさらなる改革開放を約束するとともに、欧州も中国企業の投資に対して公平・透明・非差別的な環境を提供するよう希望した。このほか、習国家主席は、双方が真の多国間主義を実践し、グローバルな気候変動対策、生物多様性保護、新型コロナウイルス対策などを牽引する必要があると強調した。

ウクライナ情勢について、習国家主席は、中国は国連憲章を順守するといった中国側の基本的立場(2022年2月28日記事2022年3月17日記事参照)を繰り返すとともに、(1)和平交渉の促進を堅持すべき、(2)さらに大規模な人道的危機の発生を防止すべき、(3)欧州とユーラシア大陸の長期的な平和を構築すべき、(4)局地的な衝突が拡大することを防止すべき、との意見を述べた。

前述の(4)の中で、「世界中をこの問題に縛りつけることはできず、ましてや各国の一般市民に重い代償を支払わせるわけにはいかない」「世界経済を政治化、道具化、武器化し、世界の金融、貿易、エネルギー、科学技術、食料、産業チェーンなどの分野に深刻な危機を引き起こしてはならない」として、ロシアへの制裁に反対する姿勢を示した。

新華社は、中国と欧州の関係に問題が生じているのは、多くは(欧州以外の)外部による挑発によるためとの認識から、習国家主席は繰り返し、欧州が「戦略的自主性」を持つように希望した、と報じている(「新華網」4月2日)。また、西側国家の一部のやり方がウクライナ情勢の影響を外部にまで拡大していると非難した(同)。

(河野円洋)

(中国、ロシア、ウクライナ、EU)

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