20年ぶりの円安下、アジア大洋州ではスリランカ・ルピーが独歩安

(ASEAN、南西アジア、オセアニア)

アジア大洋州課

2022年04月18日

日本円は4月15日に約20年ぶりの円安水準を記録した。ロシアによるウクライナ軍事侵攻前の2月23日を100として4月15日までの対ドルでの騰落率をみると、日本円はこの間に91.4と8.6%減価した。同様に、ASEAN、南西アジア(インド、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ)、オーストラリア、ニュージーランドといったアジア大洋州の主要通貨の動きをみると、スリランカ・ルピーの減価率が最大で、その水準は62.8と37.2%減価した。他方、オーストラリア・ドルは103.1と3.1%増価したものの、総じて、アジア大洋州の多くの通貨は同期間に減価した(添付資料表参照)。

スリランカ・ルピーの大幅減価は、同国の外貨不足とそれへの対応策の各種輸入制限などから、経済停滞を招いたことが背景にある(2022年4月8日記事2022年4月12日記事参照)。そこに、ロシアによるウクライナへの軍事進攻に伴う外部環境の悪化が経済危機レベルにまで事態を悪化させた。スリランカほどの減価ではないものの、債務問題を抱えるラオスや、国軍による権力掌握に伴う先行き不透明感が拭えないミャンマーの通貨も、それぞれ4.3%、4.0%減価した。対照的に、当該期間に為替が買われたオーストラリア・ドルについては、「ブルームバーグ」紙(4月5日付)などは、中央銀行の利上げ観測が増価につながっているとしている。

(新田浩之)

(ASEAN、南西アジア、オセアニア)

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