2021年のGDP成長率は3.7%、通貨は経済危機から歴史的安値圏に

(スリランカ)

アジア大洋州課

2022年04月08日

スリランカのセンサス統計局は3月30日、2021年第4四半期(10~12月)のGDP成長率は前年同期比1.8%と発表した。成長率は2四半期ぶりにプラス成長に戻った。同時に発表した年間成長率は3.7%と、前年のマイナス3.6%から復調した。新型コロナウイルス感染拡大の影響によって2020年の成長率が大幅に落ち込んだことの反動増に加えて、2021年は経済活動の正常化やワクチン接種の進展が成長の回復に寄与した。2021年の名目GDPに占める主要産業の成長率は、農業が2.0%、工業が5.3%、サービスが3.0%と、いずれもプラス成長を確保した。

2021年の成長は回復したものの、今後のスリランカ経済は下押し圧力が強まるとみられる。新型コロナウイルス感染の影響による入国制限措置や感染リスク回避の動きから、主要な外貨獲得手段の外国からの観光・ビジネス客が感染拡大前と比較して大幅に減少している。結果的に、外貨準備が減少する半面、外貨建て債務が拡大し、スリランカ・ルピーは歴史的安値圏まで大幅に減価した。4月6日時点では1ドル305.0スリランカ・ルピーとなり、感染拡大前の2020年初頭の対ドル為替レートを100としてみると、同日には59まで減価した計算だ。通貨安は輸入物価を上昇させる。その結果、経済に加えて、身近な生活用品の値上がりに直面する国民の不満の高まりから政治情勢まで揺さぶるかたちとなっている。

(新田浩之)

(スリランカ)

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